毎月給与から天引きされる厚生年金や健康保険などの社会保険料について、「出勤日数や勤務時間によって金額が変わるのか?」と疑問に思う方は少なくありません。実際には一定ではない部分もあり、仕組みを理解しておくことで思わぬ負担を避けることができます。
厚生年金・健康保険の保険料は「標準報酬月額」で決まる
厚生年金と健康保険の保険料は、「標準報酬月額」という基準に基づいて計算されます。これは毎月の給与額を区切りのある幅に分け、等級表に従って決められています。
たとえば月給が28万円であれば、標準報酬月額は28万円(または近い等級)として扱われ、これに対して保険料が算出されます。この標準報酬月額は毎月変更されるわけではなく、原則として年1回の定時決定(4~6月の給与をもとに決定)または著しい変動があった場合の随時改定により見直されます。
出勤日数の減少と保険料の関係
単に1ヶ月のうち数日欠勤があった程度では、標準報酬月額は変更されません。したがって、その月の保険料も通常どおり天引きされます。
しかし、欠勤や時短勤務が続き、給与の支給額が著しく下がった場合は、「随時改定(月変)」の対象となることがあります。これは、3ヶ月間の平均給与が標準報酬月額に2等級以上の差が生じた場合に実施され、以降の保険料もそれに基づいて再計算されます。
「給与が減った月の保険料」だけが安くなることはある?
残念ながら、1ヶ月だけの給与減少で保険料が安くなることは基本的にありません。なぜなら、保険料は「その月の給与額」ではなく「標準報酬月額」に基づいているからです。
例として、5月に体調不良で半分しか出勤できず、給与が通常の半分になったとしても、保険料は通常どおり引かれるケースが大半です。保険料が軽減されるためには、前述のように随時改定の条件を満たす必要があります。
扶養家族がいる場合や産休・育休中の対応
被扶養者がいる場合、その人の保険料負担はありません。また、産前産後休業や育児休業中は、申請すれば厚生年金や健康保険の保険料が免除される制度も整っています。
これにより、出産・育児の期間中でも安心して仕事を続けられる制度が確保されています。該当する場合は勤務先の人事や総務に相談し、手続きを忘れずに行いましょう。
勤務形態の変更と保険加入要件の見直し
時短勤務やパート勤務に変更した場合、勤務時間や日数が加入要件を満たさなくなると、厚生年金・健康保険の加入資格を失うことがあります。
例えば、週の労働時間が20時間を切ったり、年収が基準以下になった場合、企業規模によっては被保険者資格を失う可能性があります。条件に該当するかどうかは会社の規定や社会保険事務所に確認しましょう。
まとめ:保険料は急には変わらないが、継続的な変動には要注意
厚生年金や健康保険料は月ごとに大きく変動するわけではなく、原則として決まった「標準報酬月額」に基づいて計算されます。短期間の出勤減では保険料が安くなることはなく、継続的な給与の減少があって初めて見直しが行われる仕組みです。
もし長期的に働き方が変わる予定がある場合は、勤務先の担当者に事前に相談し、保険や給与への影響を確認しておくと安心です。
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