傷病手当金は、病気やケガで会社を休んだ際に生活を支える大切な制度です。しかし「転職を予定している」「復職はせず次の職場に行く」場合にも受給できるのか、疑問を持つ方も多いでしょう。本記事では、傷病手当金の基本から、復職せずに転職する場合の注意点、実際に支給されるかどうかについて解説します。
傷病手当金とは?基本の支給要件をおさらい
傷病手当金は、健康保険に加入している人が業務外の病気やケガで会社を休み、給与が支給されない場合に、最長1年6か月間支給される制度です。支給には以下の4つの要件があります。
- 業務外の病気やケガによる療養であること
- 労務不能(就労できない状態)であること
- 連続して3日間の待機期間を満たしていること
- 会社を休んでいること(報酬がないか一部支給)
このように、「労務不能の状態であること」が支給のカギとなります。
転職予定があっても支給されるのか?
結論から言えば、就労不可と診断された期間中であれば、たとえ翌月に転職を予定していても、傷病手当金は支給対象です。つまり、8月31日までの診断書があり、8月分の申請をする場合、9月1日から新たな勤務先で働くこと自体は問題ありません。
ただし、診断書の日付や内容と実際の行動が一致しているかは、審査上重要視されます。たとえば「実は8月下旬から元気に動き回っていた」といった情報が出ると、調査対象となる可能性があります。
実例:転職直前まで傷病手当金を受け取ったケース
ある女性は、適応障害で2023年4月から傷病手当金を受給し、9月末まで療養。その後10月1日付で新しい職場へ転職。9月末までの診断書を提出し、問題なく9月分の傷病手当金が支給されました。
このケースでも、復職はしておらず退職→転職だったため、「在職中の療養と無収入」がポイントでした。
注意点:支給に影響する可能性のある行動とは
以下のような行動をとると、審査時に不自然と見なされる場合があります。
- 就労不可の診断期間中にアルバイトや副業をしていた
- 旅行や遠出、SNS投稿などから「元気に活動していた」と受け取られる
- 診断書と実際の退職日が一致していない
傷病手当金はあくまで「就労が困難な状態であること」に対する保障のため、申請の正確さがとても重要です。
転職先が決まっていても「元気に働ける」ではなく「8月までは療養中」
転職活動と療養を両立させるのは矛盾するように感じるかもしれませんが、体調の波や仕事内容の違いにより「前職では働けなかったが、新職場では働ける」ということはあり得ます。
このような場合、医師の判断による診断書があれば、その期間の傷病手当金は基本的に支給されると考えてよいでしょう。
まとめ:転職予定があっても支給対象。ただし正確な手続きを
傷病手当金は、療養していた期間に労務不能だったことが証明できれば、転職予定があっても受給可能です。ただし、診断書の内容と行動が一致しているか、また退職日や転職日が曖昧になっていないかには注意が必要です。
不安がある場合は、協会けんぽや勤務先の人事担当者に事前に相談しておくと安心です。
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