妊娠を理由に退職したあと、失業給付の延長手続きを行うか、それとも夫の扶養に入り続けるか――。この選択は経済面と手間のバランスを考慮して判断する必要があります。特に給付額がさほど高くない場合は、申請の手間との釣り合いも重要なポイントです。
失業給付の計算方法と1ヶ月あたりの目安金額
雇用保険の基本手当日額は、原則として離職前6か月間の賃金の平均(賃金日額)に支給率を掛けて算出されます。今回の例では、賃金日額が5,143円、支給率0.8を掛けると、基本手当日額は約4,114円です。
これに支給日数をかけることで、1か月の受給額が概算できます。たとえば28日受給できた場合:4,114円 × 28日=115,192円となります。
受給期間延長の手続きとその意味
妊娠・出産・育児・病気などで就職活動ができない場合、最大3年間まで受給期間を延長することができます。これにより「すぐに受給しない=権利を失う」という心配がなくなります。
延長申請は離職から1年以内にハローワークで手続きが必要なので、迷っている場合でも申請だけは済ませておくことをおすすめします。
夫の扶養に入るメリットとデメリット
妊娠中に仕事を探す予定がない場合、夫の社会保険の扶養に入っておく方がコスト・手続きの両面でメリットが大きいケースがあります。扶養に入ることで、健康保険料・年金保険料の自己負担がなくなります。
一方、失業給付を受け取ると収入とみなされ、一時的に扶養から外れる必要があることがあります。受給額が少額であっても、扶養条件(月収108,333円未満など)に影響する可能性があるため、事前に確認が必要です。
金額が少ない場合の「手間とのバランス」
今回の例では、1日あたり4,114円、月換算で11万円程度の受給となりますが、そこから税金や扶養手続きの影響、受給条件(求職活動の実績提出など)を考えると「手間がかかりすぎる」と感じる人も多くいます。
とくに妊娠中や出産直後は、体力的・時間的な余裕がないため、あえて申請せずに扶養のまま出産・育児に専念する選択も十分合理的です。
他の人はどうしている?世間の傾向
実際に筆者が保険窓口やハローワーク関係者に聞いた範囲では、妊娠・出産を理由に退職した方の多くが、一旦受給期間延長を申請して、そのまま受給せずに出産後に再就職を選ぶケースが多いとのことです。
一方で、妊娠後期まで体調が安定していて、経済的事情がある方は受給を選ぶこともあります。扶養を抜けても給付額の方が有利な場合に選ばれやすい傾向です。
まとめ:損得だけでなく生活スタイルも考慮を
失業給付を受け取るか、夫の扶養のままでいるかは「金額」だけでなく「体調」や「生活スタイル」によって最適解が変わります。給付額が月11万円程度で、扶養から外れることで発生する手続きや社会保険料を考えると、延長だけして受給は出産後に検討するという方法が最も柔軟で安心といえます。
判断に迷う場合は、ハローワークでの個別相談や、扶養先の社会保険担当への確認を行い、無理のない制度活用を目指しましょう。
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