教育資金贈与非課税口座を引き出す前に知っておきたい税務上の注意点

税金

教育資金の一括贈与に係る非課税制度は、多くの家庭で子や孫の進学費用に活用されています。ただし、この制度の適用後、使い残した資金を引き出す際には一定のルールが存在します。とくに「贈与税がかかるのか?」「使い道が自由になるのか?」といった点は誤解されやすいため、この記事では制度の概要と注意点を整理して解説します。

教育資金贈与非課税制度とは

この制度は、祖父母などが30歳未満の子や孫に教育資金を一括で贈与する際、最大1,500万円まで非課税で贈与できる制度です。口座は金融機関(例:三井住友銀行)を通じて専用の信託口座や預金口座として設けられ、利用時には領収書などを提出して教育目的の支出であることを証明する必要があります。

例として、大学進学時に一括で1,000万円を贈与し、授業料・入学金・教材費などの支払いに充てた場合は、その分が非課税として処理されます。

制度の終了時や資金未使用時の扱い

制度の適用は原則として受贈者が30歳に達するまでです。もしくは制度自体の終了(2026年3月末)が来たときにも、契約は終了となります。この際、使い残した金額がある場合、教育費以外に使用すると贈与税の課税対象となる可能性があります。

たとえ残高が基礎控除(年間110万円)以下でも、非課税の特例として受け取っている資金であるため、税務上の扱いには注意が必要です。

残高を自由に引き出すと贈与税がかかる可能性も

「生活費に使いたいから引き出す」「学費に使わないから残金を戻したい」といったケースでは、その使用目的が教育費でなければ課税対象になる可能性があります。

このとき重要なのは、残高が110万円以下であっても、その資金が特例制度のもとで非課税となっていた点です。つまり、単なる「新たな贈与」とは別枠で判断されます。

領収書を出していない場合の対処法

制度上、教育資金として使用したことを証明するためには、領収書や明細書の提出が求められます。残高があるまま提出されていない場合、残額全額が贈与とみなされ課税される可能性があります。

社会人になって教育目的で使わなくなったとしても、制度の契約終了後に自由に使うことは想定されておらず、資金の用途が明確でない場合は税務署から指摘されるケースもあります。

残高の扱いを正しく進めるためのステップ

残高のある教育資金贈与口座をどう扱えばよいか迷った場合は、以下の手順が参考になります:

  • 契約した金融機関(三井住友銀行など)に問い合わせて制度の終了時期を確認
  • 未提出の領収書があれば早めに提出
  • 教育目的で使わない残額については贈与税の対象となるか税理士に確認
  • 場合によっては申告が必要になることもあるため、国税庁の情報もチェック

制度終了間際に慌てて使うのではなく、計画的に使い切るか、使途と申告の準備を整えることが重要です。

まとめ:非課税制度の出口戦略を忘れずに

教育資金贈与の非課税制度は非常に便利ですが、「使わなかったらどうなるのか」「全額引き出してもいいのか」といった点は見落とされがちです。残額がある場合、教育目的に使わなければ贈与税が課せられることもあるため、口座管理の最終段階にこそ慎重な対応が必要です。

信頼できる税理士や金融機関の担当者に相談し、トラブルなく手続きを完了させましょう。

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