定期預金を選ぶとき、「半年で1%の金利」と「1年で0.8%の金利」、一見すると前者のほうが利率が高くてお得に思えるかもしれません。しかし、実際の増加額や金利の仕組みを正しく理解することが重要です。本記事では、定期預金の金利比較と金利の下がる理由について詳しく解説します。
単純比較:どちらの定期預金が得か?
まずは実際に100万円を預けたと仮定してシミュレーションしてみましょう。
- 半年で1.0%の金利:100万円 × 1.0% × 0.5年 = 利息5,000円(税引前)
- 1年で0.8%の金利:100万円 × 0.8% × 1年 = 利息8,000円(税引前)
この結果からわかるように、1年預けた場合の方が、利息額は多くなります。
また、半年後に1%の金利で再度預けられる保証はないため、1年の定期で利率が確定している方が安定的に見えるという考え方もできます。
なぜ長期の定期預金の金利が低い場合があるのか
金融機関が提供する金利は「今後の金利動向」を織り込んでいます。将来的に金利が下がると予測される場合、短期の方が金利が高く設定されやすくなります。
つまり、半年後には現在の金利よりも低くなっていると金融機関が考えているとすれば、あえて長期の金利を低くすることでリスクを回避しているのです。
再投資を前提にするとどちらが有利か?
仮に半年後も1%で再投資できたとしましょう。その場合、
- 半年後の利息:5,000円
- 再投資分の半年の利息:1,000,000 + 5,000 × 1% × 0.5 = 約5,025円
合計で10,025円となり、0.8%で1年固定の利息8,000円を上回ります。ただし、再投資時に1%の金利が継続されているとは限らないため、リスクもあります。
流動性と金利のバランスをどう考えるか
定期預金には「流動性の制限」がつきものです。つまり、途中解約すると金利が大幅に下がるか、利息がもらえない可能性もあります。
そのため、「いつでも使えるお金」なのか「1年後でもいいお金」なのかを見極めて預け入れることが大切です。半年後に使う可能性があるなら、半年ものを。使う予定がないなら1年ものが堅実でしょう。
税引後で見るとどうなるか
利息には20.315%の税金がかかります。たとえば1年で0.8%の利息(8,000円)を得ても、手元に残るのは約6,375円です。半年で1%の利息(5,000円)なら税引後は約3,685円となります。
税引後で比較しても、やはり1年預けたほうが有利な結果となります。
まとめ:短期と長期、目的に応じた使い分けを
定期預金の金利だけを見て判断するのは早計です。半年で1%は魅力的に見えますが、再投資リスクや金利変動の可能性を考慮すると、1年で0.8%でも安心感があります。
ご自身の資金計画や使途に応じて、期間と金利のバランスをとることが最も大切です。
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