130万円の壁と扶養の落とし穴|短期パート・複数勤務でも注意したい社会保険の基準とは

社会保険

短期の仕事を掛け持ちしながら、ご主人の扶養内で働いている方にとって、「130万円の壁」は非常に気になるポイントです。特に、トリプルワークや季節労働などで収入が月によって変動する場合、社会保険加入の判定が複雑になることがあります。この記事では、収入の年間合計だけでなく、社会保険の扶養判定に関わる「月収」や「見込み年収」などの基準について詳しく解説します。

社会保険の扶養判定は「見込み年収」で判断される

多くの方が誤解しやすい点は、「1月〜12月の合計が130万円以下なら扶養のままで大丈夫」と思ってしまうことです。しかし、健康保険の扶養判定は「年間の見込み収入が130万円未満」であるかどうかで判断されます。

この「見込み」とは、直近の収入状況から今後の12ヶ月間の収入を推計して判断するため、仮に一時的でも月収が高くなると扶養から外れる可能性があります。特に、月額108,334円を超える収入が継続的にあると判断されると、社会保険加入義務が発生します。

8月〜翌年7月の収入が130万円超になるとどうなる?

たとえば、A社・B社・C社で夏場に集中して働き、8月〜翌年7月で130万円を超えた場合、勤務先や保険者(協会けんぽや健康保険組合)は、その期間の収入を見て「今後も同様の収入が続く」と判断することがあります。

その結果、「見込み年収130万円以上」とされると、扶養から外れ、ご自身で健康保険と年金を負担しなければならないことになります。収入が不安定でも、収入が高い月が連続すると判断材料になるため、注意が必要です。

月収が一時的に高くなる場合の対処法

一時的な収入増で扶養を外れたくない場合は、以下のような対応が考えられます。

  • 勤務時間を調整して月収108,334円以下に抑える
  • 複数社の合算収入も確認しながらシフトを調整する
  • 勤務先に「一時的な収入である」と説明しておく

実際に扶養に入れるかどうかは保険者の判断によりますので、勤務先の担当者や社会保険労務士に早めに相談すると安心です。

収入計算の期間は「1月~12月」ではなく「任意の12ヶ月」

社会保険の世界では、必ずしも「1月から12月」というカレンダー年にこだわらず、直近12ヶ月間で見込み年収を判断されるケースが多いです。つまり、8月から翌年7月という考え方も十分にあり得ます。

そのため、「年収130万円以内に抑えているつもり」でも、月収の変動次第で扶養外となる可能性があります。

具体例:扶養外となったケース

実際に、短期間だけ月収15万円を数ヶ月間稼いだ方が、「この状態が続く」と判断されて扶養から外された事例もあります。たとえ年単位で見ると収入が130万円未満でも、「その時点での収入水準」が重視されるということです。

こうしたケースでは、収入が減少したことが確認できれば、再度扶養に戻る手続きを取ることも可能です。ただし、一度外れると健康保険料・年金保険料の自己負担が発生するため、慎重な対応が必要です。

まとめ:扶養内で働くなら「月収+見込み年収」を意識して

トリプルワークや短期勤務を掛け持ちする主婦の方にとって、「130万円の壁」は単に年間収入だけの問題ではありません。保険者の視点では、「今後の見込み年収」や「月収水準」が重要な判断基準になります。

そのため、「1月〜12月」の合計だけでなく、収入の増減や働き方を把握し、必要であれば勤務先や保険機関に相談することが大切です。早めの対策で、安心して扶養内での働き方を続けていきましょう。

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