生命保険に複数加入している方にとって、いざ入院や手術が必要になったとき、「給付金は重複して受け取れるのか?」「医療費の支払いに制限はあるのか?」といった疑問が浮かぶのは自然なことです。本記事では、実際の制度と注意点を解説しながら、複数の保険を活用するためのポイントをお伝えします。
医療費はあくまで健康保険制度の対象
日本では医療費の大半が健康保険制度でカバーされており、入院・手術にかかる医療費は基本的に「実費精算」されます。つまり、病院に支払った医療費そのものは、保険会社が直接支払うのではなく、患者が自己負担額を病院に支払います。
生命保険や医療保険はこの医療費を「補填」するもので、給付金の支払いは治療費の額にかかわらず、契約内容に従って定額で支払われるのが一般的です。
複数の生命保険から給付金を受け取ることは可能
結論から言えば、複数の保険会社に加入していれば、それぞれから給付金を請求できます。これは「定額給付型」の保険であるため、重複していても問題はありません。
たとえば、A社とB社の2つの医療保険に加入していて、それぞれが「入院日額5,000円」の契約だった場合、10日間入院すればA社から5万円、B社からも5万円、合計で10万円の給付金が受け取れます。
実費補填型の保険は重複できないケースも
例外として、「実費補填型」の医療費用保険(がん保険や先進医療特約の一部など)は、実際に支払った医療費を上限としているため、重複請求ができないことがあります。
このような場合は、最初に支払った保険会社に領収書の原本を提出し、2社目以降にはコピーや支払い証明書を使って重複を避ける形になります。契約ごとの規約をしっかり確認しておきましょう。
入院時の請求方法と必要書類
複数の保険に請求するには、それぞれの保険会社に対して別々に申請が必要です。一般的な必要書類は以下の通りです。
- 入院・手術の証明書(診断書)
- 領収書(実費型の場合)
- 保険証券や契約番号
- 請求書・本人確認書類
診断書は複数取得が必要になる場合があり、1通につき数千円かかることもあるため、必要な通数を保険会社に事前確認しておくのが効率的です。
給付金の非課税扱いと使い道
医療保険や生命保険の給付金は、原則として非課税です。そのため、受け取った給付金は貯蓄に回す、生活費の補填に使う、交通費や付添者の宿泊費など、医療費以外の用途にも使えます。
ただし、受取人が法人や事業者の場合、課税対象となるケースもあるため個人向けの契約であることを確認してください。
まとめ:保険の併用は正しく理解すれば有効活用できる
複数の生命保険に加入している場合でも、医療費自体は健康保険制度に基づいて支払われ、保険会社からは契約に応じた給付金が支払われます。そして、「定額給付型」であれば複数社からの重複受給が可能です。
請求時には必要書類や契約内容をよく確認し、効率よく活用しましょう。複数の保険を持つメリットを活かすことで、医療費負担だけでなく生活の安心にもつながります。
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