退職月の給与が減額される場合、社会保険料が満額控除されることで手取りが大きく減ることがあります。とくに変形労働時間制や夏季休暇、欠勤が重なるケースでは、労働日数が少なくなることもあり、混乱しやすいポイントです。この記事では、社会保険料の控除ルール、満額引かれる理由、そして回避策の有無などについて詳しく解説します。
退職月の社会保険料は「在籍しているだけ」で満額発生
社会保険料(健康保険・厚生年金)は「月単位」での在籍が基準になります。つまり、1日でも在籍していれば、その月の保険料は丸ごと発生します。
8月20日退職予定の場合でも、8月中に1日でも在籍していれば、8月分の社会保険料は控除されることになります。これは法律上の取り扱いで、給与の有無には関係ありません。
給与が減っても保険料が満額引かれる理由
たとえ8月の給与が日割りや欠勤によって大きく減ったとしても、保険料は育成前の標準報酬月額に基づいて満額で控除されます。
これは、社会保険料の計算が「実際の支給額」ではなく「標準報酬月額」に基づいて行われるからです。標準報酬月額は毎年4~6月の平均で決定されるため、直近の給与減少は基本的に反映されません。
「給料払えない」では済まされない義務と会社側の責任
会社が「給料は満額払えない」「払いたくない」と言っても、法的には社会保険料の天引きは雇用主の義務です。労働者本人に原因のある欠勤で給与が減っているとしても、在籍していれば会社が立て替えて支払い、天引きされる形になります。
ただし、会社が規定通りの勤怠管理や給与締め処理を行っていない場合や、退職を巡るトラブルがある場合には、個別対応が必要になる可能性もあります。
日割り給与での手取りと保険料の逆転現象
たとえば8月1日から8月21日まで夏季休暇となっている場合、実働日が少なくなるため給与が激減し、そこから満額の社会保険料が差し引かれることで手取りがマイナスに近くなるケースもあります。
このような状況を避けるには、退職日を月末(31日など)にずらす、または月初(1日)に退職するなどの工夫が有効です。月をまたがないようにすることで、1か月分の保険料負担を避けられる場合があります。
退職日調整で回避可能?有効な対策は
例えば「8月1日付けで退職」とすれば、7月分までの社会保険料の負担で済み、8月分は発生しません。このように、退職日を月初に設定することで社会保険料を回避することは理論上可能です。
ただし、会社との合意が必要で、すでに労働実績がある場合には難しいケースもあります。また、有給休暇をうまく活用しながら調整できれば、手取りの減少も最小限に抑えられる可能性があります。
まとめ:退職月の社会保険料は「退職日」がカギ
社会保険料の発生は「月単位の在籍」が基準で、実際の給与額とは無関係に控除されます。給与が減っていても保険料は満額控除されるため、退職月の手取りが大きく下がることがあります。
これを避けるには、退職日を「月初」にする、もしくは「月末勤務」にして満額給与を得る形が理想的です。トラブルを避けるためにも、退職日と給与締め・保険料控除の関係を事前に確認し、会社としっかり調整することが大切です。
コメント