失業給付金(基本手当)は、離職後の生活を支える大切な制度ですが、「給料の7割くらいもらえる」と聞いても、その「給料」が手取りなのか総支給額なのか、はっきりしない方も多いのではないでしょうか。本記事では、失業給付金の支給額の計算基準や実際の金額イメージ、そして注意すべきポイントを詳しく解説します。
失業給付金は「賃金日額」がもとになる
まず大前提として、失業給付金は離職前6ヶ月間の「賃金日額」を基に算出されます。この「賃金日額」とは、手取りではなく、税金や保険料が引かれる前の「総支給額」を日割りにした金額です。
たとえば、月給30万円(総支給)の人であれば、30万円 × 6ヶ月 ÷ 180日(約6ヶ月)=賃金日額は約10,000円という計算になります。
基本手当日額の支給率は年齢と賃金に応じて変わる
実際に支給される金額は、賃金日額に対して一定の割合(給付率)を掛けた「基本手当日額」で決まります。
給付率の目安は以下の通りです。
- 賃金日額が低いほど、給付率は80%に近づく
- 賃金日額が高いほど、給付率は50%に近づく
つまり、平均的には「総支給額の約50~80%程度」が支給額の目安になります。高収入の方は7割に満たないこともあります。
実際の支給額イメージ:月給別に見る早見表
月給(総支給) | 賃金日額 | 基本手当日額(目安) | 月あたり給付額(28日計算) |
---|---|---|---|
20万円 | 約6,667円 | 約5,333円(約80%) | 約149,324円 |
30万円 | 約10,000円 | 約6,500円(約65%) | 約182,000円 |
40万円 | 約13,333円 | 約7,000円(約52%) | 約196,000円 |
※実際の支給額は厚労省の毎年度の上限・下限により変動します。
手取りとは異なるため生活設計に注意
支給率が総支給ベースであるため、「手取りの7割くらいもらえる」と思っていると、予想よりも少ない支給に感じる可能性があります。
実際には「手取りベースで見ると5割〜6割程度になるケースも珍しくありません」。失業給付だけで家計が厳しい場合は、早めの再就職活動や副業収入の検討も必要です。
扶養・税金・社会保険への影響も要チェック
失業給付は課税対象ではありませんが、住民税の支払いや国民健康保険料の納付義務はあります。家計の収支を正しく把握するためにも、これらの固定支出も忘れずに見積もっておきましょう。
また、家族の扶養に入る場合や再就職手当を受け取る場合は、収入基準の影響も出るため注意が必要です。
まとめ:失業給付の支給額は「総支給額ベース」で考えるべき
失業給付の支給額は、税引き前の「総支給額」を基準にした賃金日額から算出されます。手取りではないため、「給料の7割」と思っていても実際にはそれ以下になるケースが多くあります。生活設計においては、この差をきちんと理解し、必要に応じて貯金や再就職のタイミングを調整しましょう。
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