給与明細を見て「雇用保険料が高すぎるのでは?」と疑問に思ったことはありませんか?雇用保険料は計算方法さえ理解すれば納得できる仕組みです。この記事では、交通費の扱いや控除対象を含めた雇用保険の正確な計算方法を解説し、誤解されやすいポイントも具体例付きで紹介します。
雇用保険料の基本計算式
雇用保険料は、「賃金総額 × 雇用保険料率」で算出されます。2023年度の雇用保険料率(一般の事業)は被保険者負担分:0.6%(+事業主負担:0.95%)です。
賃金総額には、基本給、残業代、手当、交通費(課税される場合)も含まれます。
交通費は雇用保険料の対象?
交通費が非課税(定期券などで一定限度額内)の場合は、雇用保険料の対象になりません。ただし、交通費が実費精算などで課税対象の場合には、賃金総額に含まれることになります。
たとえば、給与220,000円のうち交通費が17,000円で非課税なら、雇用保険の計算対象は203,000円となります。
雇用保険料の具体的な計算例
実際のケースで試算してみましょう。
【例】給与総額:220,000円(うち交通費17,000円・非課税)
→ 雇用保険の対象:220,000円 − 17,000円 = 203,000円
→ 雇用保険料(2023年度):203,000 × 0.006 = 1,218円
それに対し「29,000円」もの雇用保険が差し引かれていたとすれば、明らかに誤りである可能性があります。この場合、明細の記載ミスや、別の控除が「雇用保険」として計上されている可能性があります。
社会保険料との混同に注意
雇用保険と混同されやすいのが、健康保険や厚生年金などの社会保険料です。これらは合わせて約15%前後(労使折半)となり、数万円の控除になることも珍しくありません。
たとえば、社会保険料が16,000円と明細にあり、さらに雇用保険が29,000円と表示されているとすれば、その金額には他の税金(住民税や所得税)が含まれている可能性もあるため、分類の記載ミスの可能性を疑うべきです。
明細のチェックポイントと相談先
- 交通費が課税対象かどうか
- 雇用保険料率が最新のものか
- 他の控除と混在していないか
- 明細の表記が「総称」になっていないか
不明点があれば、まずは会社の経理や総務担当者に明細の内訳を確認しましょう。それでも解決しない場合は、労働基準監督署や地域の年金事務所に相談できます。
まとめ:雇用保険料は明確なルールに基づいて計算される
雇用保険料は、「雇用保険料率 × 課税対象の賃金総額」でシンプルに計算されます。しかし、交通費の扱いや他の保険・税との混同で誤解が生じやすいのも事実です。
明細の記載内容が不透明な場合は放置せず、すぐに会社へ確認しましょう。適正な控除を把握しておくことは、労働者としての大切な権利を守る第一歩です。
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