「正社員採用」として入社したのに、半年経っても雇用が切り替わらず、保険も未加入――そんな状況に不安や疑問を感じる方は少なくありません。本記事では、実際の労働契約や法的リスク、労基署に相談すべきかどうかの判断材料を詳しく解説します。
求人にあった「正社員採用」と現実のズレ
求人に「正社員採用」「社会保険完備」「賞与・昇給あり」などと記載されていた場合、それは求人表示義務(職業安定法第5条の3)の対象となります。
実際の雇用形態がこれらと異なる場合、虚偽求人や誤認表示に該当し、行政指導・改善命令の対象となることもあります。
労働契約書がないと契約は無効?
労働契約は口頭でも成立します。したがって「契約書がない=契約していない」わけではありません。
労働基準法第15条では、使用者は労働者に対し、賃金・労働時間・雇用形態などの労働条件を書面で明示する義務があります。
書面がない場合でも、契約自体は成立しているが、使用者側が違法状態です。
社会保険未加入は会社の義務違反
週の所定労働時間が20時間を超える場合、かつ月収が88,000円以上であれば、雇用保険・健康保険・厚生年金などの加入対象となります(事業所規模に応じて要件あり)。
週5日・1日10時間勤務という状況であれば、加入義務は十分に発生していると考えられます。
「小さい会社で保険が難しい」という言い訳の実態
中小企業であっても、一定条件を満たす労働者に対しては社会保険への加入義務があります。
「フランチャイズだから本部が対応しない」などという説明は関係なく、雇用主=フランチャイズ運営会社に社会保険適用義務があります。
したがって「保険の切り替えが難しい」という説明は、正当な理由にはなりません。
具体的な対処法:労基署やハローワークへの相談
- 労働条件の不一致・社会保険未加入→所轄の労働基準監督署に相談
- 雇用保険・年金の加入漏れ→ハローワークまたは年金事務所に申告
- 虚偽の求人票→ハローワークや労働局職業安定部へ通報
証拠として、求人票のスクリーンショットやLINEのやりとり、給与明細などを残しておくことが重要です。
実例:同様のケースで会社側が指導を受けた事例
あるコンビニフランチャイズ店では、求人に正社員と記載しながら実際はアルバイト扱いにしており、労基署から是正指導が入ったケースがあります。
結果として、未払い残業代と社会保険の未加入分が一括で支払われた事例もあり、声を上げることで改善される可能性は十分にあります。
まとめ
✅ 求人票に「正社員」と書かれていたにも関わらず、雇用切り替えがない・保険未加入で放置されている状態は明らかに問題ありです。
✅ 契約書がなくても労働契約は成立しています。労基法15条違反の可能性があります。
✅ ハローワーク・労基署・年金事務所など、適切な相談機関に連絡して対処を検討しましょう。
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