体調不良などで長期間仕事を休む場合に頼りになる制度が「傷病手当金」です。しかし、給与の支給日と実際の休職期間がずれると、「これって手当金もらえるの?」と迷うことが少なくありません。本記事では、休職期間中の給与の支給と傷病手当金の関係について、実例を交えてわかりやすく解説します。
傷病手当金の基本要件とは?
傷病手当金は、全国健康保険協会(協会けんぽ)などの健康保険に加入している被保険者が、業務外の病気やケガで仕事を休み、給与を受け取れないときに支給されます。主な要件は以下のとおりです。
- 連続する3日間の待機期間を含み、4日以上仕事を休んでいること
- 仕事に就けないことが医師により証明されていること
- 休職中に給与が支払われていないこと
ここで大切なのが「休職中に給与が支払われていない」という点であり、支払日と実際の労働日のズレがポイントになります。
例1:休職前の勤務分の給与が支払われるケース
ケース概要:
6月は毎日出勤、7月1日〜31日は休職、7月25日に6月分の給与が支払われ、8月1日から復職。この場合、7月に支払われた給与は6月に働いた対価であり、休職中の給与には該当しないため、7月分の傷病手当金は支給対象になります。
傷病手当金の判断基準は「支給日」ではなく「その給与がどの期間の労働に対するものか」という点にあります。つまり、休職中に給与振込があっても、それが休職前の勤務に対するものであれば、手当金受給に影響しません。
例2:休職が月をまたぐケース
ケース概要:
6月出勤、7月15日〜8月15日休職。7月25日に6月分の給与、8月25日に6月26日〜7月14日分の給与が支給されたとします。
この場合、傷病手当金が支給される期間は7月18日〜8月15日のうち、給与が支払われていない日です。つまり、7月14日までは働いており、その後7月18日以降が待機期間経過後の支給対象。7月15日〜17日は待機期間で手当金は発生しません。
したがって、8月25日に振り込まれる7月14日までの給与とは重ならない7月18日〜8月15日分は、傷病手当金を申請することができます。
給与が支払われていても手当金が減額になる場合
仮に休職中に「一部だけ給与が支払われている」場合、傷病手当金はその支給額と調整されます。たとえば、会社の規定で基本給の半額が支払われている場合、傷病手当金はその差額分のみ支給されることになります。
このように、給与の全額が支払われていなければ、支給停止にはならず減額調整で済むケースもあるため、明細の内容を細かく確認することが重要です。
申請時の注意点と準備すべき書類
傷病手当金の申請には、主に以下の書類が必要です。
- 健康保険傷病手当金支給申請書(本人記入欄・会社記入欄・医師記入欄)
- 給与明細または賃金台帳の写し
- 就業状況を証明する勤務表など
「実際にいつ働いたのか」「どの期間が給与の対象か」を明確にできる証拠をそろえることで、手当金申請がスムーズになります。
まとめ:給与の支払日ではなく「労働の対価」で判断される
傷病手当金の支給可否は、休職中に給与が「支払われたかどうか」ではなく、「休職中の期間に対して支払われたかどうか」で判断されます。
したがって、支給日が休職期間中であっても、それが過去の勤務に対するものであれば問題ありません。逆に、休職期間に該当する部分に対して給与が支払われている場合は、その分を差し引いて手当金が支給されるか、支給されないことになります。
迷った場合は、健康保険組合や会社の人事担当に確認し、正確な申請を行いましょう。
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