非正規雇用で働く方にとって、契約期間満了後の年金対策は非常に重要です。特に、年金定期便で示された将来の年金額を維持したいと考える場合、国民年金加入中の過ごし方がカギになります。本記事では、非正規の契約終了後でも将来の年金月額を10万円に近づけるための具体的な方法と、国民年金基金やその他の制度の活用方法について解説します。
年金定期便の「見込み額」はどの条件を前提としている?
年金定期便で示されている将来受給額は、現在の保険料納付状況や雇用形態が継続した場合を前提にしたシミュレーションです。たとえば、厚生年金に3年間加入していた場合、そのまま同条件で60歳まで継続すると想定して年額や月額が計算されています。
契約が終了して国民年金に切り替わると、加入条件が変わるため、当然年金額は減少する可能性が高くなります。
国民年金のみでは満額でも月額6.5万円程度が上限
国民年金(基礎年金)の満額は令和6年度現在で約月額66,000円程度です。これは40年間(480ヶ月)保険料を納付した場合の最大額です。
つまり、現在の年金定期便で「月10万円」と記載されていた場合は、基礎年金に加えて厚生年金が含まれていた可能性が高く、国民年金だけで同額を維持するのは困難です。
国民年金基金で上乗せする方法
国民年金基金は、自営業者やフリーランス、非正規雇用者が基礎年金に上乗せして受給額を増やすための制度です。加入は任意で、国民年金第1号被保険者(厚生年金に加入していない人)が対象です。
たとえば、国民年金基金の「B型(終身・15年保証)」を月額1万円程度掛けることで、将来年金に約2万円程度の上乗せが期待できます。ただし、加入年数やプランによって受給額は異なりますので、詳細は国民年金基金公式サイトでシミュレーションを行うのがおすすめです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)を併用する選択肢
老後資金を積み立てるもう一つの有力な方法がiDeCoです。国民年金基金と違い、積み立てた資金を運用して老後に受け取る制度で、最大のメリットは掛金が全額所得控除になる点です。
たとえば月1万円をiDeCoで積み立てた場合、年収300万円程度の人なら年間約1.8万円の節税効果が見込めます。また、将来の受取額は運用成績によって変動しますが、着実に資産を増やす手段として有効です。
就労ブランクを減らす工夫も重要
年金額を減らさないためには、収入の空白期間を可能な限り短くすることも重要です。非正規でも厚生年金に加入できる条件を満たす職場で働くことで、再び厚生年金の加算を得られます。
具体的には「週20時間以上勤務」「月額賃金88,000円以上」などの条件を満たした場合、短時間勤務でも厚生年金に加入できるケースがあります(いわゆる短時間被保険者制度)。
まとめ:10万円の年金を維持するために取るべき行動
将来の年金月額10万円を維持するためには、以下の対策が考えられます。
- できるだけ早く次の厚生年金付きの仕事を見つける
- ブランク期間中は国民年金を継続納付し、国民年金基金やiDeCoを活用する
- 年金定期便の金額が「今の条件を継続した場合」であることを理解する
将来に向けた備えは、早い段階からの行動が最も効果的です。ご自身のライフプランに合った年金対策を検討してみましょう。
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