会社を退職後、次の職に就くまでの間に国民健康保険や国民年金への加入を後回しにしてしまう人は少なくありません。しかし、これらは法律により原則として加入が義務づけられており、未加入や未納のままで放置しておくとさまざまな不利益が生じます。この記事では、国民健康保険に加入しなかった場合に何が起きるのか、また負担が重いときの対処法についてわかりやすく解説します。
国民健康保険の未加入は「さかのぼって請求」される
退職後に国民健康保険に加入せずに放置していた場合、市区町村は未加入期間中の保険料をさかのぼって請求することがあります。つまり、「未加入=支払い免除」ではないということです。
たとえば3ヶ月間未加入でいた後に加入手続きを行った場合、3ヶ月分の保険料がまとめて請求されることがあります。延滞金が課されるケースもあるため、早めの手続きが重要です。
無保険状態のまま病気やケガをすると全額自己負担
健康保険に未加入の期間中に医療機関を受診した場合、本来保険でカバーされる7割分も自己負担となり、医療費が高額になります。
たとえば風邪で診察と薬を受けて通常3,000円のところ、無保険であれば10,000円以上かかることも。重い病気や事故に遭った場合のリスクは非常に大きく、早めの保険加入は万が一に備える重要な備えです。
「お金がないから払えない」ときに使える減免・猶予制度
収入がない、または少ない時期に保険料を支払えない場合、減免制度や納付猶予制度を活用することができます。多くの自治体で、前年の所得や生活状況に応じた保険料の軽減措置があります。
例えば、前年の所得が一定以下であれば保険料が5割〜7割軽減されることがあります。年金についても「納付猶予制度」や「免除申請」が可能です。市区町村の窓口に相談しましょう。
退職後すぐにすべきこと:手続きと書類一覧
退職したら14日以内に住民票のある市区町村で以下の手続きを行う必要があります。
- 国民健康保険の加入手続き
- 国民年金の加入(第1号被保険者への切り替え)
- 必要に応じて減免・猶予制度の相談
必要な書類には「退職証明書」や「離職票」、マイナンバー確認書類、身分証明書などがあります。事前に自治体のホームページや窓口で確認するとスムーズです。
実例:退職後2ヶ月未加入だったAさんのケース
30代で自己都合退職したAさんは、無収入のため国保に加入せず2ヶ月が経過。市役所から通知が来て慌てて手続きに向かいました。結果として過去2ヶ月分の保険料と延滞金を支払い、生活費の一部を削ることに。
しかし同時に相談したことで保険料の減額が適用され、今後の支払い負担は大きく軽減されました。「困ったときはまず相談」が重要である好例です。
まとめ:未加入放置はリスク大、早めの手続きと相談を
国民健康保険や国民年金の未加入は、後から大きな請求や医療費の自己負担というリスクに繋がります。「払えない」と感じるときこそ、窓口に行って減免・猶予の相談をすることが大切です。
退職後は保険や年金の切り替えも「生活再設計の一環」として、確実に進めていきましょう。手続きは早めに、そして困ったときは一人で抱え込まず相談することが、将来の安心につながります。
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