生活保護と聞くと「働けない人が受けるもの」というイメージを持たれがちですが、実際には生活保護を受けながら働いている人も存在します。この記事では、生活保護制度の基本とともに、就労可能なケースや収入との関係について、制度の背景を踏まえて詳しく解説します。
生活保護とはどんな制度なのか
生活保護は、病気や失業、障害、高齢などの理由により収入が不十分な人に対して、国が最低限の生活を保障するための公的扶助制度です。
支給内容は、生活扶助・住宅扶助・医療扶助・介護扶助などに分かれており、必要に応じて各種の給付が組み合わされます。
生活保護を受けながら働くことは可能?
結論から言えば、生活保護受給中でも働くことは可能であり、むしろ推奨されています。厚生労働省も、就労による自立を支援する立場を取っており、働ける人には就労指導が行われます。
たとえば、週3日程度のパートやアルバイトをしながら生活保護を受けている人もいます。収入が生活保護基準を超えない範囲であれば、就労は制限されません。
就労収入がある場合の生活保護との関係
働いて得た収入は「収入認定」され、保護費から差し引かれることになります。ただし、全額が差し引かれるわけではなく、勤労控除という制度が設けられており、一定額は収入として見なされません。
たとえば、月収が6万円のアルバイトをした場合、そのうち1万円〜2万円程度は控除され、残りが生活保護費から差し引かれる形になります。
このように、働いた分だけ全額支給が減るわけではないため、「働いても意味がない」という誤解は避けるべきです。
就労支援プログラムや自治体の取り組み
多くの自治体では、生活保護受給者向けの就労支援プログラムが実施されています。職業訓練、ハローワークとの連携、就労準備支援などを通じて、段階的に自立を目指す仕組みです。
実際に、病気や障害から回復した後、段階的に就労を再開し、最終的に生活保護から脱却した事例も多数あります。
働けない人はどうなる?
もちろん、すべての受給者が働けるわけではありません。高齢者、障害者、育児や介護で外出が難しい人などには、就労義務は課されません。
また、病気の治療中や一時的に就労が難しいと判断される人に対しては、医師の診断などをもとに就労免除の措置が取られる場合もあります。
まとめ:生活保護と就労は両立可能
生活保護を受けているからといって「働いていない」「働けない」と決めつけるのは誤解です。実際には、多くの受給者が可能な範囲で働きながら、生活を維持しています。
制度としても、就労による自立を後押しする仕組みが用意されており、働く意思のある人には支援の手が差し伸べられています。生活保護と就労は矛盾するものではなく、むしろ共存を前提に設計されているのです。
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