退職後に厚生年金から国民年金に切り替えた場合、「将来の年金額は減るの?」という不安を感じる人は少なくありません。実際、年金の仕組みは複雑ですが、ポイントを押さえれば対策も可能です。この記事では、厚生年金と国民年金の違いや、年金額への影響についてわかりやすく説明します。
厚生年金と国民年金の違いとは?
日本の公的年金制度は、2階建て構造になっています。1階部分が全国民共通の「国民年金(基礎年金)」、2階部分が会社員や公務員が加入する「厚生年金」です。
厚生年金は給与額に応じて保険料と将来の受給額が決まるため、一般的に国民年金だけよりも受け取れる年金額が多くなります。一方、国民年金は定額保険料で、支給額も定額に近いため、厚生年金より低めになる傾向があります。
厚生年金から国民年金に切り替えると何が変わる?
会社を退職して厚生年金の加入が終わると、自動的に国民年金への切り替えが必要になります。この切り替え自体は法律で定められており、義務でもあります。
重要なのは、厚生年金の加入期間が長いほど、将来の受給額は高くなるということです。退職後に国民年金だけを支払っていた場合、将来の年金額は下がる傾向がありますが、厚生年金に加入していた期間の分はしっかりと反映されます。
国民年金だけを払っていると年金額はいくら?
2025年度時点の満額国民年金(老齢基礎年金)の年額は約80万円程度です。これは40年間フルで国民年金を支払った場合の金額です。
一方、厚生年金を含めた人の平均的な年金受給額は、男性で月16万円前後、女性で月10万円前後とされています。つまり、厚生年金の加入期間があるかないかで、将来の生活資金に大きな差が出る可能性があります。
空白期間があるとどうなる?
厚生年金から国民年金に切り替えた後、保険料の納付を怠って空白期間ができてしまうと、その分だけ将来の年金額は減ります。未納期間があると満額を受け取る資格を失うため、注意が必要です。
空白期間が避けられない場合は、日本年金機構に相談して追納や免除制度を活用することで、将来の年金額への影響を抑えることができます。
年金受給額を増やすための工夫
退職後も再就職して厚生年金に再加入する、あるいは任意で付加年金を追加するなど、受給額を増やす手段もあります。たとえば、国民年金に加えて月400円程度の付加保険料を納めると、将来の年金額が年額で最大48,000円ほど増えることもあります。
また、年金の繰下げ受給(65歳以降に受給を遅らせる)を選択すれば、1か月あたり0.7%、最大42%も受給額が増える制度もあります。
まとめ:年金額を減らさないためには「継続納付」と「制度理解」がカギ
厚生年金から国民年金への切り替えは、退職後の自然な流れですが、将来の年金額を確保するには空白期間をつくらず、しっかりと国民年金を納めることが大切です。厚生年金で積み上げた期間は将来の年金額に反映されるため、無駄にはなりません。さらに、年金制度をよく理解して対策を講じることで、老後の安心にもつながります。
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