アルバイトとして社会保険に加入している場合、勤務状況や給与の有無によって厚生年金や健康保険の取扱いに違いが生じます。特に「1カ月間まったく出勤しなかった」というケースでは、保険料の支払い義務や保険資格の維持について疑問に思う方も多いでしょう。この記事では、出勤ゼロの月があった場合に社会保険がどう扱われるのかを、制度の仕組みや実際の例を交えてわかりやすく解説します。
社会保険加入の基本ルール
厚生年金や健康保険などの社会保険は、雇用形態にかかわらず、一定の条件を満たすと企業が加入させる義務を負います。たとえば、週20時間以上の勤務、月額88,000円以上の収入、2カ月超の雇用見込みなどが代表的な要件です。
加入後は、実際に出勤し給与が発生しなくても、雇用契約が続いている限り「在籍」扱いとなり、社会保険の資格も継続されます。
出勤ゼロでも保険料は発生する?
出勤せず給与が支払われなかった月でも、保険料は原則発生します。なぜなら、社会保険料は「月単位の在籍」に基づいて発生するからです。出勤日数や給与の有無に関係なく、その月の初日に在籍していれば保険料の支払い対象になります。
ただし、給与がゼロの場合は事業主が保険料の立替払いをするか、本人に自己負担を求める形になります。実際の対応は勤務先によって異なるため、就業規則や給与明細を確認しましょう。
「報酬月額ゼロ」の届出で保険料が免除されるケース
会社が「報酬月額がゼロ」であることを年金事務所に届け出た場合、その月の保険料が発生しないケースもあります。ただし、これは非常に例外的な措置で、事業主の届け出と保険者(協会けんぽや年金事務所など)の承認が必要です。
また、単に「働いていない」ことと「労務に従事していないこと」は異なると判断される場合もあり、誤解しやすい点です。
資格喪失にはならないが注意点も
1カ月だけ出勤ゼロだったとしても、原則として社会保険の資格喪失にはなりません。ただし、これが数カ月続いたり、退職が前提の長期休業であると判断されると、資格喪失(脱退)手続きが必要となることがあります。
その場合は、事業主が「資格喪失届」を提出し、喪失日以降は国民健康保険や国民年金に切り替えることになります。
実例:学生アルバイトの休業期間
たとえば、大学生のアルバイトが春休みで1カ月間まったく出勤しなかったケース。契約が継続しており復帰の予定がある場合、資格は維持されます。その間、保険料が給与から天引きされないため、会社から保険料請求されることもあります。
一方で、契約終了や退職予定が明確な場合は資格喪失の手続きが行われる可能性もあります。
まとめ:出勤ゼロでも資格は続くが保険料対応に注意
社会保険に加入中のアルバイトが1カ月出勤しなかった場合でも、雇用契約が継続していれば保険の資格は維持されます。ただし、保険料は原則として発生するため、給与がない月でも事業主または本人が負担する必要があります。
ケースにより扱いが異なるため、勤務先の人事や労務担当者に確認することが最も確実です。疑問がある場合は、日本年金機構や協会けんぽへの相談もおすすめします。
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