「将来年金なんて返ってこないかもしれないから払いたくない」。そんな声を若い世代からよく耳にします。特に高校生や大学生になりたての頃は、社会保障の仕組みがわかりにくく、漠然とした不安だけが先行しがちです。この記事では、将来の年金制度を冷静に見つめた上で、払うべきかどうかの判断材料を提供します。
日本の年金制度とは?基本を知っておこう
まず年金制度の仕組みを理解することが大切です。日本では「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」があり、すべての20歳以上の国民は基本的に国民年金に加入する義務があります。
たとえば、アルバイトをしていても学生であっても20歳になれば国民年金の納付が求められます(ただし、学生納付特例制度もあり)。将来的には老後の年金受給権を得るための大切な土台になります。
年金は本当に「損」なのか?将来の受給額と比較する
「払ってもどうせ元が取れない」と思う方も多いですが、実はそうとも限りません。例えば、40年間フルに保険料を納付し続けると、65歳から月額約6万6000円(2024年度時点)の老齢基礎年金を受け取れます。
仮に85歳まで生きると、受け取る総額は約1584万円となります。支払った保険料が約800万円程度なので、差し引きしてもプラスになります。もちろん制度の変更リスクはありますが、それでもある程度の老後の備えになるのは確かです。
「万が一」に備える意味での価値
年金制度には老後年金以外にも「障害年金」や「遺族年金」といった重要な機能があります。たとえば、若くして病気や事故で重度障害を負った場合、障害年金を受け取れる可能性があります。
実際に、若年層の障害年金受給者も少なくありません。これらの給付は納付実績が一定以上あるかどうかに大きく左右されます。
学生なら「学生納付特例制度」の活用を
高校を卒業して進学した場合、「学生納付特例制度」に申請すれば、保険料の支払いを猶予してもらえます。将来、収入が安定したときに追納すれば、未納ではなくなり、受給資格も確保できます。
この制度を活用すれば、すぐにお金を払わなくても制度のメリットはキープできるため、学生にとって大きな味方です。
年金を「払わない」リスクとは
年金を「払わない」という選択をすると、将来的に年金が受け取れないだけでなく、障害年金・遺族年金といった保険的給付も失われます。
また、未納状態が続くと督促状や差し押さえのリスクもあるため、単純に「損得」だけで判断するのは危険です。
まとめ:年金は将来の保険。制度を理解した上で賢く選択を
年金は「老後のための預金」ではなく「万が一に備える保険」です。目先の損得ではなく、長い人生のなかでどのようなリスクに備えるかという視点が大切になります。
特に若いうちは、学生納付特例制度などを活用して負担を軽減しつつ、制度の仕組みをしっかり理解しておくことが、将来の安心につながる第一歩になります。
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