4月から6月の収入が社会保険料の等級に影響するという話を聞いたことがある方も多いでしょう。では、もしこの時期に株や投資信託を売却して利益を得た場合、その収入も社会保険料に影響するのでしょうか?本記事ではその仕組みと、口座の種類による違いも含めてわかりやすく解説します。
社会保険料は「報酬月額」によって決まる
社会保険料(健康保険・厚生年金保険など)は、主に会社員が対象となる制度で、毎年4月~6月の給与平均額(報酬月額)に基づいて等級が決定されます。これを「標準報酬月額」といい、その年の9月から翌年8月までの保険料に反映されます。
ここで重要なのは「報酬」とは給与や賞与などの労働に対する対価であり、株式や投資信託の売却益などは報酬に該当しないという点です。
投資益は社会保険料に影響しない
株や投資信託の売却によって得られる利益は、所得税上は「譲渡所得」または「配当所得」などに区分されますが、社会保険料の算定対象となる「報酬」には含まれません。つまり、社会保険料の計算には影響しないのが基本です。
たとえば、4月に100万円の株を売って50万円の利益が出たとしても、その利益は保険料には加味されないため、安心して売却できます。
一般口座・特定口座で違いはある?
投資口座には「一般口座」「特定口座(源泉徴収あり・なし)」の3つの種類がありますが、社会保険料との関係では違いはほとんどありません。
- 一般口座:自分で確定申告が必要ですが、売却益はあくまで譲渡所得なので報酬には該当しません。
- 特定口座(源泉徴収あり):証券会社が税金を自動で引いてくれるため、確定申告不要。これも報酬にはならないため保険料に影響しません。
- 特定口座(源泉徴収なし):確定申告が必要ですが、課税区分が変わるわけではなく、社会保険料には無関係です。
ただし国民健康保険の場合は要注意
自営業者やフリーランスなどが加入する「国民健康保険(国保)」の場合、所得全体に基づいて保険料が決まります。そのため、株や投資信託の売却益も所得としてカウントされ、翌年度の保険料に影響を及ぼすことがあります。
例えば、株式の売却益が50万円あった場合、それが住民税の課税対象になり、その結果国保の保険料も上がるという仕組みです。
投資と社会保険の賢い付き合い方
サラリーマンで厚生年金・健康保険に加入している方は、投資益が保険料に直接影響することはほぼありません。安心して投資戦略を立てられるでしょう。
一方、国民健康保険加入者は、確定申告の内容が翌年の保険料に影響するため、投資タイミングや申告内容に注意が必要です。節税対策として、NISAなどの非課税制度を活用するのも効果的です。
まとめ:投資益は社会保険料には基本的に無関係
社会保険料の算定において、4月〜6月に発生する株式や投資信託の売却益は影響を与えません。これは労働の対価ではないため、報酬として扱われないからです。
ただし、国民健康保険に加入している場合は別で、売却益が所得として保険料に反映される可能性があります。自分の加入している保険制度の仕組みを理解し、無駄な支出を防ぎながら賢く投資を進めましょう。
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