2025年(令和7年)度税制改正により、所得税の控除制度に大きな変更が加えられ、「特定親族特別控除」という新たな仕組みが創設されました。これにより、特に学生アルバイトなどで働く19歳~23歳の方やその扶養者にとって、控除や所得制限の考え方が変わってくる可能性があります。本記事では、この改正のポイントや実務的な影響についてわかりやすく解説します。
令和7年度税制改正の施行時期とその意味
今回の改正は、令和7年12月1日に施行されるとされていますが、適用対象は「令和7年分以後の所得税」と明記されています。つまり、2025年1月1日~12月31日までの所得全体に対して、この改正内容が適用されることになります。
これは、「年末調整や確定申告のタイミング(12月以降)」から対応が必要になるという意味であり、1年間の収入をもとに計算される所得税全体に新しい控除制度が反映されることになります。
「特定親族特別控除」とは何か?
「特定親族特別控除」とは、19歳以上23歳未満の学生を扶養する場合に適用される所得控除の仕組みです。具体的には、一定の要件を満たす学生を扶養している場合、親などの扶養控除額が従来よりも高く設定される制度です。
これは、大学進学などで教育費がかさむ時期にある家庭の経済的負担を軽減する目的で導入されたものです。特定扶養親族(19歳~22歳)に対して適用されていた従来の制度を見直し、より柔軟で現実的な枠組みとなります。
アルバイト学生の収入上限はどうなる?
この改正により、「150万円までなら稼いでも大丈夫になるのか?」という疑問を持つ人も多いでしょう。従来は、学生が年間所得48万円(給与収入で約103万円)を超えると扶養から外れ、親の控除に影響する可能性がありました。
令和7年の改正後も、学生本人が扶養親族に該当するためには、引き続き所得制限が適用されると考えられます。つまり、「特定親族特別控除」が創設されても、学生自身の年収が150万円までOKになるということではなく、あくまで扶養者側の控除額が変わる制度です。
したがって、学生アルバイトが150万円まで収入を得ても扶養控除に影響がない、という解釈は誤りであり、従来通りの収入制限に注意が必要です。
実際のケースでシミュレーション
例1:大学生のAさん(20歳)がアルバイトで年間所得45万円(給与収入約100万円)だった場合、引き続き親の扶養控除が適用され、「特定親族特別控除」により控除額が増える可能性があります。
例2:Bさん(22歳)がアルバイトで給与収入160万円(所得約110万円)だった場合、扶養控除の対象から外れ、「特定親族特別控除」の適用もなくなります。結果として、親の税負担が増加する可能性があります。
改正後の年末調整・源泉徴収事務のポイント
改正は12月1日施行ですが、対象は「令和7年分の所得」なので、年末調整の段階でこの新制度が反映されるようになります。11月までの源泉徴収事務に変更はないものの、12月の年末調整書類(扶養控除等申告書など)には新しい様式が適用される見込みです。
企業の経理担当者や個人事業主は、国税庁の指針をよく確認し、適切に源泉徴収事務を行う必要があります。特に扶養親族の年齢・所得の確認は、控除適用に直結する重要なポイントです。
まとめ:制度の理解と正確な対応がカギ
「特定親族特別控除」は、扶養する学生がいる家庭にとっては嬉しい支援制度ですが、学生本人の収入制限が緩和されるものではありません。制度の趣旨や施行時期を正しく理解し、誤解なく対応することが重要です。
これから年末調整や確定申告を迎えるにあたっては、最新の国税庁の情報を確認し、必要に応じて税理士や専門家に相談するのも有効な手段です。しっかり備えて、控除の恩恵を最大限に活かしましょう。
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