障害年金3級が厚生年金限定な理由とは?制度の仕組みと背景を解説

年金

障害年金制度には1級・2級・3級がありますが、このうち「障害厚生年金の3級」は厚生年金に加入していた人だけが対象となる等級です。一見、不公平に見えるこの制度ですが、そこには年金制度の構造的な理由が存在します。本記事では、その仕組みや背景についてわかりやすく解説します。

障害年金には2つの制度がある

障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2つに分かれています。基礎年金は国民全員が加入する制度であり、自営業者や専業主婦、学生なども対象です。一方、厚生年金は会社員や公務員など、給与所得者向けの制度です。

障害等級のうち、1級と2級はどちらの制度でも支給対象ですが、3級は厚生年金加入者にしか認められていません。これは制度設計上の違いによるものです。

なぜ3級は厚生年金だけなのか

3級の位置づけは「日常生活には支障がないが、労働に制限がある状態」です。つまり、働くことを前提にして評価される障害等級であり、労働収入を得ている人(=厚生年金加入者)にのみ適用される仕組みとなっています。

一方で、国民年金(基礎年金)の加入者はそもそも働いていない場合が多く、3級に該当する軽度の障害では「年金で支援するほどの支障がない」と見なされるのが制度上の考え方です。

実例:3級認定の対象者とは

たとえば、会社員であるAさんが病気で片耳の聴力を失い、業務に支障をきたすようになった場合、労働能力の制限として3級認定を受けられる可能性があります。しかし、同じ障害をもつ自営業者Bさんが国民年金のみ加入だった場合、障害年金の対象にはなりません。

この違いは「保険料を多く負担している厚生年金加入者に対し、より手厚い保障を設ける」という社会保険の原則に基づいています。

実は補足的な給付も存在する

障害厚生年金の3級には、症状が比較的軽度であっても、生活に困難がある人への配慮として「障害手当金(1回限りの一時金)」という制度も用意されています。こちらも厚生年金限定ですが、3級に満たない程度の障害にも一定の支援をする仕組みです。

制度への批判と今後の課題

当然ながら「同じ障害なのに支給の有無が違うのは不公平」という声もあり、障害者支援団体などからは制度改正を求める意見も出ています。ただし、年金財政の限界や公平性の観点から、急な見直しは難しいのが現状です。

今後、国民年金加入者の支援拡充については、生活保護や福祉制度との連携でカバーする方向で調整が進められています。

まとめ:厚生年金加入者への保険給付としての3級

障害年金3級が厚生年金加入者限定であるのは、「労働収入への支障」を前提とした設計だからです。保険料負担に応じた給付という社会保険の原則に則ったものであり、制度の公平性・持続性の観点から一定の合理性があります。

もし障害年金の制度に疑問がある場合は、専門の社会保険労務士や年金事務所への相談もおすすめです。

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