生命保険の受取人の設定は、万が一に備えるうえでとても大切な要素です。特に母子家庭や単独で子どもを育てている家庭では、「誰を受取人にするか」は慎重に考えるべき問題です。本記事では、子どもが未成年の間に受取人を親族に設定していたケースから、子が成人した後に再設定すべきかどうかまでを解説します。
未成年の子どもを生命保険の受取人にするリスク
子どもが未成年の間は、生命保険金を直接受け取ることができません。法律上、未成年者が財産を取得する場合には保護者や後見人が必要です。
特に離婚した配偶者に親権が移ったり、後見人として関わる可能性がある場合、本意でない人物に保険金の管理を委ねてしまうリスクが発生します。これを避けるため、実際には信頼できる兄弟姉妹や親などを一時的に受取人に設定する方が少なくありません。
子どもが成人したら見直すべきタイミング
子どもが18歳以上になれば、法的に単独で保険金を受け取れる権利を持ちます。2022年の民法改正で成年年齢が18歳に引き下げられたため、これまでの「20歳成人」という基準からも変わっています。
このタイミングで、生命保険の受取人を子どもに再設定することは極めて自然な選択といえるでしょう。
受取人の変更方法と必要書類
受取人の変更手続きは、加入している保険会社に連絡し、専用の「受取人変更届」などを提出することで行えます。主な必要書類は以下の通りです。
- 保険証券番号または加入者情報
- 契約者の本人確認書類(免許証など)
- 新しい受取人の情報(氏名・生年月日・続柄)
オンラインで手続きが可能な保険会社も増えてきていますので、まずはコールセンターなどに問い合わせるのがおすすめです。
元配偶者に情報が伝わる心配は?
「受取人を子に戻すと、元夫に知られてしまうのでは?」という懸念もあるかもしれませんが、生命保険契約の内容は契約者の同意なしに第三者には開示されません。たとえ元配偶者であっても、情報が漏れることは通常ありません。
ただし、子どもが受取人となった場合はその子自身が保険契約の存在を知る必要があるため、信頼関係のある家庭環境を築くことも大切です。
相続や税金にも注意が必要
生命保険の受取金額が一定額を超えると、相続税の課税対象になります。非課税枠は「500万円 × 法定相続人の数」で計算されます。
今回のように子ども一人が受取人の場合、非課税枠は500万円です。それを超える金額がある場合は、申告が必要になるため注意しましょう。
まとめ:子どもの成長に合わせて生命保険の設計も見直そう
生命保険の受取人は、家族構成や子どもの年齢によって最適な設定が変わります。子どもが成人した今、再び受取人に設定することは合理的かつ安心な選択です。人生の節目ごとに保険内容を見直し、いざというときに備えた万全な対策を整えておきましょう。
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