2025年の公的年金改定ポイントを徹底解説｜支給額・仕組み・私たちの生活への影響とは？

公的年金制度は、高齢化や物価の変動を踏まえて毎年見直されます。特に2025年度は物価上昇や賃金の変化を背景に改定が行われ、多くの受給者・加入者にとって注目すべきポイントがいくつかあります。本記事では、2025年の年金改定の内容やその背景、生活への影響についてわかりやすく解説します。

2025年度の年金額はどう変わる？

厚生労働省の発表によれば、2025年度の公的年金（老齢基礎年金・厚生年金）の支給額は前年度比で2.7％引き上げとなりました。これは2023年から2024年にかけての物価上昇や賃金上昇が反映された結果です。

たとえば、満額の老齢基礎年金（40年間保険料を納めた人）が月額で約66,250円から約68,040円へ増額される予定です。夫婦2人分で考えると、年間で約43,000円の増加となります。

年金改定は、物価や賃金の動向をもとに毎年自動的に調整されます。その際に使われる仕組みが「マクロ経済スライド」です。

マクロ経済スライドは、少子高齢化による保険料収入の減少に対応するため、年金額の伸びを物価や賃金の上昇よりも少し抑える調整制度です。ただし、2025年度は物価と賃金がともに大きく上昇したため、結果的に実際の年金額は増加となりました。

今回の改定により、すでに年金を受け取っている人にとっては収入増となるため、生活費の補填にプラスです。特に生活必需品の物価上昇が続く中で、この引き上げは歓迎されるでしょう。

一方で、年金制度の支え手である現役世代にとっては、将来の支給水準が「マクロ経済スライド」によって抑制されるという点では課題も残ります。つまり、将来受け取る年金額は今ほど高くはない可能性があるということです。

日本の年金制度は「賦課方式」であり、現役世代が納めた保険料で高齢者の年金を支える仕組みです。そのため、少子高齢化が進むほど、支える側が減り、受け取る側が増えるという構造的課題があります。

政府は制度の持続性を保つため、段階的に支給開始年齢の柔軟化や、受給繰下げによる加算制度の拡充などを検討・導入しています。自分のライフプランに応じて「繰り下げ受給」や「iDeCo・NISAによる資産形成」なども視野に入れることが大切です。

年金額が増えることは喜ばしい一方で、住民税非課税世帯の判定基準に影響する可能性があります。たとえば、非課税世帯向けの給付金や福祉制度の対象から外れるリスクがあるため、毎年の所得状況には注意が必要です。

心配な場合は、市町村の福祉課や年金事務所に相談し、制度変更に対する影響を個別に確認しておくと安心です。

2025年の公的年金改定では、物価・賃金の上昇を反映して年金額が増加します。これは多くの年金受給者にとってプラスとなりますが、制度全体としては将来的に給付水準が抑えられる流れが続く見込みです。

今後も毎年の改定情報を確認し、年金だけに頼らない備えとして、NISAやiDeCoなどの制度を活用した資産形成を検討することが、将来の安心につながります。