定年退職を迎えた後も、年金とパート収入で生活する方は少なくありません。特に60代の女性には、扶養から外れた後の税金や社会保険料の扱いが複雑に感じられることもあります。本記事では、国民年金とパート収入を得ている場合の税金や社会保険の扱いについて、実例を交えてわかりやすく解説します。
年金とパート収入の合計額から見る課税対象
年金収入は、公的年金等控除の対象です。63歳の場合、基礎控除も含めて65万円程度までの年金には所得税がかからないことが多いです。一方で、パート収入に関しては、給与所得控除と基礎控除を差し引いた金額が課税対象になります。
例えば、年金が年間64万8,000円(月54,000円×12)で、パート収入が年96万円(月8万円×12)の場合、合計収入は160万8,000円となります。パート収入の給与所得控除は55万円、基礎控除は48万円となるため、課税所得は0円となり、所得税は発生しない可能性が高いです。
住民税の基準と課税されるケース
住民税は、各自治体によって多少異なりますが、概ね年収100万円を超えると課税対象となる可能性があります。今回の例では、パート収入が96万円、年金が64万8,000円で合計160万8,000円なので、一部自治体では住民税が発生する可能性があります。
しかし、各種控除(社会保険料控除や医療費控除など)を適用することで非課税となる場合もあるため、毎年の申告が重要です。市区町村の住民税非課税基準額を確認し、控除額を正確に申告しましょう。
国民健康保険料と介護保険料について
扶養から外れている場合、原則として国民健康保険に加入することになります。保険料は前年の所得に基づき計算されます。年金とパート収入の合計が約161万円であれば、それに見合った保険料が発生します。
また、65歳未満でも、一定年齢に達すると介護保険料も別途必要になります。たとえば、63歳の方であれば介護保険料は不要ですが、65歳を迎えた時点で保険料が加算されるので、今後の生活設計には注意が必要です。
社会保険の加入要件とパート勤務の留意点
パート勤務先で一定の条件(週20時間以上、月収8.8万円以上、勤務期間が1年以上など)を満たすと、厚生年金や健康保険の加入対象となる場合があります。もし社会保険に加入できる場合、将来的な年金額に良い影響を与える可能性があります。
しかし、加入することで手取り額が減る場合もあるため、保険料と将来の給付のバランスを見て判断することが重要です。勤務先に相談して、自分が社会保険加入対象かどうかを確認してみましょう。
節税・節約のためにできること
確定申告を行うことで、医療費控除や生命保険料控除などを受けることができます。年金受給者でも、パート収入がある方は確定申告または市町村への申告が必要になることがあります。
また、ふるさと納税を活用することで住民税の控除を受けられるなど、節税に繋がる制度もあります。年金とパート収入の合計が控除内に収まる場合でも、これらを適切に活用することが生活の安定に寄与します。
まとめ|年金とパート収入の両立に必要な基礎知識
63歳で年金とパート収入を得る場合、所得税や住民税がかかるかどうかは各種控除の適用によって変わります。また、社会保険についても収入や労働時間によって加入義務が発生する可能性があります。事前に制度を正しく理解し、勤務先や自治体に相談することが、安心した生活への第一歩です。
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