年金は「請求しないと受け取れない」制度であることをご存じですか?公的年金には受給資格があっても、申請(裁定請求)を行わないと1円も支給されないのが原則です。そして、受給権の請求には「5年の時効」があるため、手続きを放置すると本来もらえるはずの年金が一部失われてしまう可能性があります。この記事では、年金請求の流れと時効による注意点をわかりやすく解説します。
年金の受給には手続きが必要:自動で振り込まれるわけではない
日本の年金制度では、老齢基礎年金・老齢厚生年金ともに、本人が「裁定請求」という手続きを行わない限り支給が開始されません。つまり、65歳を過ぎても請求しなければ年金は1円も振り込まれないのです。
日本年金機構からは65歳の誕生日前後に「年金請求書(裁定請求書)」が送られてきますが、提出しなければ給付は保留されたままになります。
時効の原則:過去5年分しかさかのぼって受け取れない
年金法には「年金給付の請求は時効により5年間で消滅する」というルールがあります。そのため、受給開始可能な年齢から5年以上何も手続きをしていないと、それ以前の分は受け取れなくなります。
たとえば、65歳で受給資格を得た人が70歳で初めて請求した場合、本来受け取れた65〜69歳分のうち「直近5年分」しか遡って支給されず、65歳の1年間分は消滅します。
遅れて請求した場合の流れと支給方法
年金を遅れて請求した場合でも、請求日から過去5年分の年金は一括で支払われます(未支給分としてまとめて振込)。以降は通常通り偶数月の15日に支給されます。
支払先は裁定請求書に記載した金融機関の口座です。手続き時に本人確認書類や年金手帳、マイナンバーが必要になるので、日本年金機構の公式サイトで必要書類を確認しておきましょう。
時効消滅を防ぐにはどうすればよい?
年金の時効による損失を防ぐためには、以下のような対策が有効です。
- 65歳になったら速やかに裁定請求を行う
- 受け取りを遅らせる場合は「繰下げ受給」の申請をしておく
- 年金定期便やねんきんネットで状況を確認
繰下げ受給を申請すれば、最大75歳まで支給を遅らせることが可能で、受給額が増えるメリットもあります。ただし、繰下げの手続きをしなければ「単に未請求のまま」扱いになり、時効リスクが生じるため注意が必要です。
まとめ:年金は「手続きして初めて受け取れる」制度
年金は権利があるだけでは支給されません。請求手続きをしなければ支払われず、放置すれば過去の分が5年で時効消滅してしまいます。65歳になったら忘れずに裁定請求を行い、将来の損失を防ぎましょう。繰下げ受給などの制度も活用しつつ、自分にとって最適なタイミングで確実に年金を受け取る準備を進めておくことが大切です。
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