国民健康保険料は前年の所得が基準になるため、所得が下がれば保険料も下がると思われがちです。しかし、実際には所得が減ったにもかかわらず保険料が上がるケースもあります。本記事では、そうした保険料増加の理由について、仕組みと事例を交えて詳しく解説していきます。
保険料の計算は「所得」だけで決まらない
国民健康保険料は、大きく分けて次の3つの要素で構成されています。
- 所得割:前年の所得に応じて決まる
- 均等割:加入者1人あたり定額
- 平等割:世帯単位で定額
たとえば、あなたのように年収が160万円から140万円に減ったとしても、均等割や平等割が値上げされていれば、全体としての保険料は上昇する可能性があります。
保険料の増額には「制度改定」や「自治体の調整」が影響
国民健康保険は自治体が運営しており、毎年4月〜6月頃に保険料率や均等割額・平等割額の見直しが行われます。つまり、前年より所得が減っていても、保険料率そのものが上がっていれば、結果的に支払額は増えます。
たとえば2024年度には、多くの自治体で医療費増加や高齢化に伴い保険料が微増傾向にあります。仮に均等割が年間で500円上がっただけでも、12カ月に分割すれば月約40〜50円の増加となります。
過去と比較するなら「通知書の内訳」を確認
前年の納付書と今年度の納付書を見比べることで、どの項目が増えているかを把握できます。特に次の点に注目しましょう。
- 所得割額に変化があるか
- 均等割・平等割の金額が変わっているか
- 介護保険料(40歳以上の場合)の有無
フリーターなど非正規で収入が不安定な方は、住民税非課税などの要件に該当すれば保険料の軽減措置が受けられる可能性もあるため、役所への確認もおすすめです。
保険料の軽減制度を活用しよう
以下の条件を満たす場合、保険料が軽減される可能性があります。
- 前年の所得が一定額以下
- 世帯主とその世帯に属する全員の所得が対象範囲にある
- 失業や減収による申請軽減の適用
たとえば年収140万円の場合、自治体によっては7割軽減が適用されるケースもあります。ただし、自動的に適用されるとは限らず、自ら申請が必要な場合もあるので注意が必要です。
よくある誤解:「年金」と「健康保険」は別の制度
質問者が気にされていたように、「年金の値上がり」が影響しているのでは?という疑問ですが、健康保険料とは別制度のため、直接的な影響はありません。
年金保険料の変動があっても、国民健康保険の金額に影響することはないので、混同しないようにしましょう。
まとめ:少額の変動でも仕組みを理解すれば安心
たとえ年収が下がったとしても、保険料が上がるケースは珍しくありません。その理由の多くは、保険料率や均等割・平等割の変更、または軽減措置の対象外となったことにあります。
納付書の内容をよく見直し、疑問があれば市区町村の窓口やホームページで確認してみましょう。早めの確認と申請が、将来の支出を抑える第一歩になります。
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