病気やけがで仕事を休まなければならないとき、経済的な支援となるのが健康保険から支給される「傷病手当金」です。しかし、申請や支給のルールは少し複雑で、特に待機期間や会社の休暇制度との違いを理解していないと損をしてしまうこともあります。今回は、傷病手当金の申請に必要な条件や注意点について詳しく解説します。
傷病手当金とは?支給条件を整理
傷病手当金は、会社員などが健康保険に加入している状態で業務外の病気やケガにより働けない場合に、一定の条件を満たすことで支給される制度です。
支給されるには次の4つの条件が必要です。
- 業務外の理由での病気やケガである
- 連続する3日間の待機期間の後、4日目以降も働けない
- 労務不能の状態であること
- 給与の支払いがない、もしくは少ない
重要なのは「連続する3日間の待機期間」が発生し、その後も休業が続く必要があることです。
待機期間の考え方|元々のシフトが休みの日は含まれる?
待機期間とは、傷病手当金の支給が始まる前に必要な「連続した3日間の休業期間」のことです。この3日間には、有給休暇やシフト上の公休日、欠勤日などを含めることができます。
したがって、医師から診断された休職開始日が4/15で、その日と4/16がシフトの休みだった場合でも、それらは待機期間にカウントされます。ただし、医師がその日から就労不能と診断している必要があります。
つまり、「実際に働いていない日が連続して3日間あり、かつその期間が就労不能である」と判断されれば待機期間とみなされます。
病気休暇と傷病手当の違いとは
会社によっては「病気休暇」という制度が別途設けられている場合がありますが、これは労働条件としての社内制度です。傷病手当金の制度とは別に扱われるため、両方の制度が存在する場合は、以下のような違いを理解しておくと安心です。
制度 | 管理者 | 支給元 | 特徴 |
---|---|---|---|
病気休暇 | 会社 | 会社 | 有給または無給/規程により異なる |
傷病手当金 | 健康保険組合/協会けんぽ | 健康保険 | 連続3日間の待機後から支給対象 |
そのため、病気休暇を取得している期間に給与が全額支給されていれば、傷病手当金は支給されません。給与が出ない、または一部しか出ない場合に差額が支給されます。
申請時の注意点と必要書類
傷病手当金を受給するには、本人・会社・医師の記入が必要な所定の申請書(傷病手当金支給申請書)を提出する必要があります。特に、医師の記入欄に「就労不能である期間」が明示されているかが非常に重要です。
また、職場の病気休暇の書類と傷病手当の申請書は別物です。病気休暇は社内手続き用であり、傷病手当金の支給には健康保険への申請が必須です。誤って「申請したつもり」にならないよう注意しましょう。
まとめ:制度の違いを理解して適切な申請を
傷病手当金を受けるには、待機期間や就労不能の診断日、そして実際の勤務シフトなどの整合性が大切です。シフトの休みが待機期間に含まれるかどうかは、その日が医師の診断により就労不能であるかがカギです。
また、会社の「病気休暇」と「傷病手当金」はまったく別の制度ですので、会社での手続きとは別に健康保険への申請も忘れずに行いましょう。曖昧な点がある場合は、会社の人事担当者や健康保険の窓口に確認することをおすすめします。
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