年金の繰上げ受給を検討している方にとって、自分で金額シミュレーションを行うことはとても重要です。特に、現在特別支給の老齢厚生年金を受給している場合、老齢基礎年金の繰上げ請求において試算内容の理解は欠かせません。この記事では、ねんきんネットを活用した具体的な入力方法や、郵送手続き時の注意点をわかりやすく解説します。
老齢基礎年金の繰上げとは?
老齢基礎年金は原則65歳から受給できますが、60歳から繰上げ受給を選択することが可能です。ただし、1カ月繰上げるごとに0.4%ずつ年金額が減額されます。繰上げた場合の受給額は一生変わらないため、長期的な視点での比較が大切です。
たとえば64歳0カ月で繰上げた場合、65歳まで12カ月早いため、12×0.4%=4.8%減額されることになります。
ねんきんネットでの試算手順
ねんきんネットで繰上げ試算を行うには、「将来の年金見込額試算」のメニューから進み、次のように入力します。
- 老齢基礎年金:繰上げたい年齢(例:64歳0カ月)
- 老齢厚生年金:現在受給中であるため「既に受給中」と入力
- 比較対象:65歳0カ月での年金見込額と比較する
試算画面では、年間受取額・減額率・累計受給額などが表示されるため、それを基に何歳で逆転するか(=繰上げせず65歳から受給した方が有利になる年齢)を確認できます。
逆転年齢をどう読むか?
繰上げ受給は、早くもらい始める代わりに1年ごとに4.8%ずつ減額されるため、結果的に「いつまで生きれば65歳開始の方が得か」という視点が必要です。これが「逆転年齢」です。
たとえば64歳で繰上げた場合、逆転年齢が77歳だったとすると、77歳を超えて生きる場合は繰上げしない方が金銭的には有利ということになります。
窓口と郵送手続きの違いと注意点
窓口で手続きを行うと、その場でシミュレーションをしてくれます。特に老齢厚生年金の受給状況や、特別支給と通常の老齢年金の関係なども含めて具体的なアドバイスを受けることができます。
一方、郵送請求の場合はシミュレーション結果を個別に教えてもらえないため、自力でねんきんネットを活用するか、電話相談を併用するのが望ましいです。
繰上げ請求書の提出時期に注意
繰上げ請求をする場合、請求書の提出時期によって初回の受給月が変わります。たとえば、64歳6カ月のタイミングで請求したいなら、その前月には書類を提出する必要があります。
なお、老齢厚生年金と老齢基礎年金の「同月受給開始」はできないため、特別支給の老齢厚生年金を受け取っている方は、開始時期の重複や受給停止の可能性にも注意が必要です。
まとめ:自分で調べる力と制度の理解が大切
年金の繰上げは一生の年金額に関わる重大な選択です。郵送での請求を考える場合でも、ねんきんネットでの試算や公的機関への相談を活用して、納得のいく判断をしましょう。逆転年齢の読み解きと、厚生年金との併給調整も忘れずに確認しておきたいポイントです。
コメント