国民年金と厚生年金の利回りはどれくらい?平均寿命別のシミュレーションで徹底解説

税金、年金

老後の資金計画を立てる上で、「年金の利回り」は重要な指標です。今回は、国民年金・厚生年金に支払った保険料に対して、実際にどのくらいの年金を受け取れるのか、平均寿命ごとに利回りをシミュレーションしながら、わかりやすく解説します。

年金制度の基本:国民年金と厚生年金の違い

まず、年金制度の基礎を確認しておきましょう。日本の年金制度は「2階建て構造」になっており、1階部分が国民年金(基礎年金)、2階部分が厚生年金です。

国民年金は自営業者や学生などが対象で、保険料は2025年度で月額16,980円(予定)。
厚生年金は会社員や公務員が加入し、給与に応じて保険料が決まります(労使折半)。

支払額と受給額の比較:利回りを知る前提条件

利回りを算出するには、次の2点を前提とします。

  • 保険料支払い期間:40年間
  • 65歳から受給開始

国民年金のみ加入した場合、40年で支払う総額はおよそ815万円(16,980円×12ヶ月×40年)です。2025年度の老齢基礎年金の満額は約81万円/年(6.75万円/月)です。

つまり、年金を約10年受け取ると、元本回収となります。

年金の利回りを平均寿命別にシミュレーション

ここでは国民年金だけ加入した場合の概算利回り(年率)を示します。

寿命 総受取額 実質利回り(年率)
75歳 約810万円 0%前後
85歳 約1,620万円 約2.6%
95歳 約2,430万円 約4.0%
105歳 約3,240万円 約4.9%

利回りは複利換算での目安です。長生きするほど利回りは上がり、「終身年金」の特徴が活きてきます。

厚生年金の場合の利回りはどうなる?

厚生年金は報酬比例のため個人差が大きいですが、平均的な会社員(年収500万円・40年勤務)のケースを想定すると、老齢厚生年金は年間およそ100〜120万円と見積もられます。

この場合、保険料の総負担は約900万円(本人負担のみ)に対して、年金受給総額が20年で約2,400万円。実質利回りは3〜4%になるケースが一般的です。

利回りだけで年金制度を評価すべきか?

年金は「投資商品」ではなく、「保険制度」です。長生きリスクに備える仕組みであり、遺族年金や障害年金といった保障も含まれています。

仮に損得だけを比較すれば、元が取れない可能性もありますが、「長生きすれば得になる」「インフレにある程度対応」「民間保険よりもコストが低い」といったメリットも見逃せません。

民間商品との比較:年金は本当に損か?

たとえば、65歳時点で800万円を元手に民間の終身年金保険を契約した場合、返戻率は1.0〜2.5%程度が相場です。これに対して公的年金は寿命次第で3〜5%の利回りを得られることもあります。

また、国が運営しているため、破綻リスクが低い点も大きな安心材料です。

まとめ:公的年金は「長生きリスク」に備えるための保険

公的年金の利回りは、平均寿命であれば0〜2%、長生きすれば3〜5%という水準です。必ずしも「損な制度」ではなく、リスク分散や生活保障としての役割を果たします。

将来の年金制度に不安を感じることもあるかもしれませんが、利回りや損得だけで判断せず、「社会的セーフティネット」としての重要性も踏まえて考えることが大切です。

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