フリーターとして働いている場合、給与の所得税は通常『甲欄』が適用されるはずですが、突然『乙欄』になり、所得税が大幅に引かれることがあります。今回は、なぜこうしたことが起こるのか、その理由と対処法について詳しく解説します。
所得税の『甲欄』と『乙欄』の違い
まず、給与の所得税には甲欄と乙欄の2種類があります。
甲欄
- 扶養控除等申告書を提出した場合に適用
- 基礎控除や扶養控除が考慮され、所得税が軽減される
- 年末調整の対象となる
乙欄
- 扶養控除等申告書を提出していない場合に適用
- 控除がないため、所得税が高い税率で計算される
- 年末調整の対象外となり、確定申告が必要
通常、メインの勤務先では甲欄が適用されるはずですが、何らかの理由で『乙欄』に変更されてしまうことがあります。
所得税が乙欄になった可能性のある理由
今回のケースでは、1月の給与では甲欄が適用されていたのに、2月の給与で乙欄に変わってしまったという状況です。このような場合、以下の理由が考えられます。
1. 会社側の事務ミス
もっとも考えられるのは、会社の給与計算担当者が間違えたというケースです。
- 扶養控除等申告書が会社内で紛失された
- システムの入力ミスで乙欄になった
- 年末調整後の処理で間違えた
会社の人事・経理担当者に確認すればすぐに修正できる可能性があります。
2. 扶養控除等申告書が未処理になっている
申告書は提出済みでも、会社側で手続きが完了していないと、乙欄が適用されることがあります。
特に、年末年始の給与処理のタイミングでミスが起こることが多いため、一度会社に申告書の処理状況を確認しましょう。
3. 給与の支給元が変わった
もし、会社の組織変更や契約変更があった場合、新たに給与を支払う法人が変わることがあります。この場合、新たに扶養控除等申告書を提出しないと乙欄扱いになります。
会社の給与体系や雇用契約が変更されていないか確認しましょう。
4. 会社が誤ってダブルワークと認識した
質問者はダブルワークをしていないと述べていますが、会社側が誤って『他にも勤務先がある』と判断した可能性があります。
たとえば、過去に別のアルバイトをしていた場合、それがまだ続いていると誤解されている可能性があります。雇用契約が終了したことを明確に伝えると、甲欄に修正できるかもしれません。
乙欄の税額が高くなる理由
甲欄と乙欄では、所得税の計算方法が異なります。
甲欄(扶養控除等申告書提出済み)
給与額 | 所得税額 |
---|---|
28万円 | 約6,000円(控除後の税率適用) |
乙欄(控除なし・高税率適用)
給与額 | 所得税額 |
---|---|
28万円 | 約50,000円(税率約20%) |
乙欄では控除が適用されないため、高い税率で計算されます。そのため、通常の10倍近い所得税が引かれることになります。
乙欄の所得税を取り戻す方法
もし間違って乙欄で課税されてしまった場合、次の方法で税金を取り戻すことができます。
1. 会社に甲欄への修正を依頼する
間違いが発覚した場合、会社の給与担当者に相談し、甲欄へ修正してもらいましょう。修正後、過剰に引かれた所得税は次の給与で調整されることが一般的です。
2. 年末調整または確定申告で還付を受ける
もし会社が修正に対応してくれない場合でも、年末調整または確定申告を行うことで、過剰に支払った税金を取り戻すことができます。
確定申告をする場合、「給与所得の源泉徴収票」を取得し、税務署またはオンライン(e-Tax)で手続きを行いましょう。
まとめ
給与の所得税が突然乙欄になった場合、以下のような原因が考えられます。
- 会社側の事務ミス(扶養控除等申告書の紛失・未処理)
- 給与の支給元が変更され、新たに申告書が必要になった
- 会社が誤ってダブルワークと認識した
まずは会社の給与担当者に確認し、甲欄に修正してもらうことが最優先です。修正ができなかった場合は、年末調整や確定申告で税金の還付を受けることが可能です。
不明点があれば税務署や専門家に相談し、適切な手続きを進めましょう。
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