年金の受給時期や定年後の働き方について悩む方は多く、60歳を迎えると一層現実味を帯びてきます。この記事では「65歳から年金を受け取る」という選択肢の現実性や加給年金・給与調整との関係、退職後の生活設計の考え方について解説します。
年金は「65歳から受給」が基本スタイル
年金受給は60歳~75歳の間で自由に選べますが、本来の支給開始年齢は65歳です。65歳からの受給は、減額も増額もない中立的なタイミングで、制度設計上も最も想定されている開始時期です。
70歳まで繰下げることで最大42%の増額が期待できますが、「85歳まで生きないと損」といった損益分岐の考え方があるため、健康状態やライフスタイルによっては65歳開始が合理的な判断になります。
加給年金は「条件次第」で変動・減額もありうる
加給年金とは、65歳以降に厚生年金を受給する人に、一定条件を満たす配偶者や子がいる場合に支給される加算です。ただし、配偶者が老齢基礎年金を受け取り始めると、加給年金は停止される点に注意が必要です。
また、将来的な制度変更で金額が見直される可能性もあり、年金事務所での最新確認が非常に重要です。
65歳以降の働き方と年金の「在職老齢年金制度」
65歳以上になると、在職老齢年金制度の基準が緩和され、年金と給与の両立がしやすくなっています。現在の制度では、月収47万円以下なら年金は満額支給されます。
たとえば、自宅近くでバイトをする程度の収入であれば、年金との調整は不要で、そのまま年金も受け取ることができます。
ローン完済は退職時までに済ませるのが鉄則
65歳以降の年金生活に備えるうえで、ローンの残債があると大きな負担になります。とくに住宅ローンやカードローンは、定年時に完済しておくことが理想です。
仮に60歳〜65歳の間で完済予定がある場合は、計画的な繰上返済や支出の見直しを行い、老後生活の安定性を高めましょう。
実例:60歳男性が65歳から受給+軽労働という選択
埼玉県在住のAさん(60歳男性)は、65歳1ヶ月で会社を退職予定。年金は65歳から受給し、自宅近くで週3日程度のアルバイトを検討中。
「70歳まで働いても寿命のことを考えると損になるかも」という判断で、時間のゆとりと金銭的な安定を両立するライフスタイルを選択しました。
まとめ|65歳からの年金と働き方は“自分に合う形”を見極めて
・65歳からの年金受給は制度上もっとも自然な選択肢。
・加給年金や給与との調整は制度理解がカギ。
・退職後は無理のない働き方とローン完済が老後の安心につながる。
年金の受給時期や生活設計に正解はありませんが、「自分の健康・収入・支出」を見直したうえで最適なタイミングと働き方を選ぶことが、豊かなセカンドライフの第一歩となります。
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