給与から天引きされていた住民税が、実際には会社から納付されていなかった場合、還付を求める本人にとっては非常に理不尽な状況が生じます。この記事では、会社が倒産・夜逃げ状態で住民税を未納にしていた場合、還付金を受け取るための可能な手段や対応策について、具体的に解説していきます。
給与から控除されていたのに、住民税が納付されていない実態
会社が給与から住民税を天引きしていたにもかかわらず、市区町村に納付していなかったケースは、いわば横領や脱法的行為にあたることがあります。この場合、市区町村は「納付がない」限り還付手続きに応じることができません。
市役所の立場としては、納税義務者である事業者(会社)が本来納めるべき金額を納付していないため、未納分を還付対象とは見なせず、たとえ本人が控除された事実を訴えても、返還の対象とならないのが現実です。
特別徴収未納の責任は誰にあるのか
住民税の特別徴収制度では、従業員本人が納税義務者ではあるものの、納税行為の代理を会社に委託している形式になります。しかし会社がそれを履行しない場合、市はあくまで「納付されていない」と判断し、納税行為は未遂とされます。
このため、市町村は「会社から納付された事実が確認できない限り、還付はできない」と回答することになります。
還付を受けるための手段と対応策
それでも以下のようなアクションを取ることで、一定の対応や救済が得られる可能性があります。
- 源泉徴収票や給与明細の写しなど、控除された事実を証明する書類を提出
- 市町村の納税課や税務課に対し、正式な「納税確認請求書」を提出し、特例措置を相談
- 会社が存在しない(倒産)旨を証明できる書類(登記簿謄本や倒産通知など)を添える
また、市によっては「未納住民税に関する苦情処理制度」や担当者への相談窓口が設けられている場合があります。
会社に対して法的措置を検討する方法
もし会社代表者の所在が不明であっても、法的には以下のような請求手段も存在します。
- 内容証明郵便で還付請求通知を送付(例:〇月〇日から〇月〇日分の給与天引きについて)
- 労働基準監督署への相談(給与天引き未払=賃金不払い)
- 少額訴訟や民事調停の検討
なお、会社が事実上の倒産状態で財産がない場合、法的請求による現実的な回収は難しいこともあります。
「更生の請求」後の動きと注意点
住民税の還付は、実際に市町村が「納付を受けた金額」に基づいて処理されます。よって、たとえ所得控除などで税額変更通知が届いても、未納状態では還付には進めません。
このため、今後再就職先の企業での特別徴収や、自身での普通徴収による住民税納付状況と照合するなど、納税履歴を追って記録を残すことが重要です。
まとめ:泣き寝入りしないための記録と交渉が鍵
給与から住民税が引かれていたにもかかわらず、還付されないという状況は非常に理不尽に感じられるものです。しかし、会社の納付義務が果たされていない以上、市役所の立場としては還付に応じることができないのが現実です。
源泉徴収票や給与明細などの記録をもとに、市に対して交渉や事実確認を行い、必要であれば第三者機関(労基署・弁護士)に相談することを検討しましょう。
コメント