扶養内パートと扶養外社員、どちらが得？月10万円vs12万円で比較解説

配偶者の扶養に入るか外れるか——特に月10万～12万円程度の収入で働く方にとっては、年金や社会保険、手取りの違いが将来にわたって大きな差を生みます。今回は「扶養内で月10万円のパート」と「扶養外で月12万円の社員」の働き方について、年金・保険・手取り・将来設計の観点からわかりやすく解説します。

扶養内と扶養外の基本的な違いとは？

まず「扶養」とは、主に配偶者の健康保険や年金の被扶養者になることを指します。年収130万円未満（条件により106万円）であれば、保険料を自分で支払う必要がなく、社会保険料が免除されます。

一方、扶養外になると自分で健康保険・厚生年金に加入する必要があります。これにより毎月2～3万円程度の社会保険料が天引きされますが、保障や将来の年金額に違いが出てきます。

月10万円のパート収入で扶養内なら、社会保険料がかからないためほぼ満額が手取りになります。対して、月12万円の社員の場合は社会保険料を差し引かれ、手取りは9万5千円前後になるケースも。

一見すると扶養内パートの方が得に見えますが、後述する保障面や将来の年金額を考慮する必要があります。

扶養内でいると厚生年金に加入できないため、自身の年金は国民年金（基礎年金）のみ。将来的にもらえる年金額は年間約78万円（2025年度見込み）程度にとどまります。

一方、扶養外で社員として働けば厚生年金に加入でき、保険料は負担しますが、将来の年金額は上乗せされ、長期的に見れば差は大きくなります。

扶養外で厚生年金や健康保険に加入すれば、病気や出産時に傷病手当金や出産手当金が支給されるなど、手厚い保障が受けられます。

扶養内パートは保険給付の対象外のため、たとえば産休時に収入がゼロになっても手当はありません。子育てを視野に入れるならこの差は非常に重要です。

子育て中で短時間勤務を希望する場合は、扶養内で働くことが心身的にも経済的にもバランスが取れることがあります。

一方で、子どもの教育費や老後の生活資金を見据えて社会保障を厚くしておきたい場合は、扶養外で働いて将来的な安定を選ぶのも一つの戦略です。

扶養内パートは短期的な手取りの多さと働きやすさが魅力ですが、扶養外社員は保障と将来性で勝ります。家族構成・健康状態・将来設計を総合的に見て選ぶことが大切です。

重要なのは、「今の手取り」だけでなく「将来の安心」も含めて判断すること。ライフステージに応じて柔軟に働き方を選びましょう。