相続の際、故人の通帳に記載されている名前が戸籍上の漢字と異なるケースは意外と少なくありません。日常的に使われていた通称や異字体が原因で、銀行手続きが複雑になることもあります。本記事では、名前の漢字が違う通帳を相続する際の具体的な対応方法と注意点を解説します。
なぜ名前の漢字が違うだけで問題になるのか?
銀行では本人確認を厳格に行うため、通帳名義と戸籍上の名前が完全一致していることが基本条件です。とくに相続手続きでは、亡くなった方が本当にその口座の持ち主であることを証明しなければなりません。
「冨」と「富」など見た目が似ていても、金融機関のシステム上は別の文字と扱われ、書類の不備と判断される可能性があります。
まずやるべきこと:故人の死亡届と口座凍結
故人が亡くなったことを銀行に報告すると、その時点で該当口座は凍結されます。凍結後は預金の引き出しや振込ができなくなりますが、相続手続きの第一歩として必要なステップです。
なお、口座凍結を知らせないままの操作(例:ATMでの引き出し)は「不正利用」とみなされるリスクもあるため、速やかに連絡を入れましょう。
名前の違いをどう証明する?有効な書類とは
名前の漢字違いを証明するには、次のような資料が役立ちます。
- 運転免許証や保険証など、通帳名義と同じ漢字が記載された身分証明書の写し
- 印鑑証明や過去の公共料金の領収証(同じ漢字が使われていれば有効)
- 銀行が求める所定の申立書や説明書
これらを用意し、「冨」も「富」も同一人物であることを立証します。銀行により書式や判断基準が異なるため、必ず事前に確認しましょう。
遺産分割協議書を準備する際のポイント
相続人が複数いる場合、預金の分配方法を定めるための「遺産分割協議書」が必要になります。この書類には、通帳名義の名前(たとえ異字体でも)と戸籍名を両方明記し、「同一人物であること」を記載しておくとスムーズです。
専門家に依頼する場合も、名前の違いについて相談しておくと、後のトラブルを防げます。
通帳は誰の名義になるのか?分けられるのか?
基本的に、口座自体を相続人の名義に変更することはできません。相続手続きが完了すれば、預金は解約され、それぞれの相続人に分配される形になります。
つまり、「母や自分名義の通帳に切り替える」のではなく、「口座内の預金を分ける」という流れになります。
銀行との交渉は慎重に、早めに行動を
銀行は形式や書類の不備に非常に厳しいため、言われた通りに動くだけでは手続きが進まないこともあります。書類の説明を丁寧に行い、場合によっては弁護士や司法書士に相談するのも有効です。
また、口座の名義人本人が「手続きに来てほしい」と案内されるのは、生前の話であり、亡くなったことが判明すれば別の対応になります。死亡届の提出と同時に、「本人確認が困難なケース」として相談しましょう。
まとめ:名前の違いはトラブルの元、でも解決可能
故人の通帳名義が戸籍と違う場合でも、正しい書類と丁寧な説明があれば、相続手続きを進めることは可能です。遺産分割協議書の準備や証明書類の整備を行いながら、銀行に早めに相談して対応方針を確認しましょう。
不安な場合は、相続に詳しい専門家に相談することで、スムーズな解決が期待できます。
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