日常生活で万が一の損害賠償責任に備えるための「個人賠償責任保険」。自転車事故や子どものいたずらによる損害などに役立つことで知られていますが、「仕事中のミス」に対しても補償されるのでしょうか?この記事ではその疑問に答えながら、補償されるケース・されないケース、そして必要な補償の考え方について解説します。
個人賠償責任保険とは?その基本的な仕組み
個人賠償責任保険は、自分や家族が日常生活において他人に損害を与えた場合、その賠償責任を補償する保険です。多くは自動車保険や火災保険、傷害保険に特約として付帯する形で加入されています。
例えば、自転車で通行人にケガをさせた、子どもが店の商品を壊してしまったといった日常生活に起因する損害が対象です。
仕事中のミスは補償対象になるのか?
結論から言えば、原則として仕事上のミスによる損害は、個人賠償責任保険の補償対象外です。なぜなら、個人賠償責任保険は「私生活」に限定された補償だからです。
たとえば、会社員が業務で取引先に損害を与えた場合、それは雇用関係に基づくものであり、保険の対象となる「私的な賠償責任」ではないという解釈になります。
業務上のリスクには「職業賠償責任保険」や「使用者賠償責任保険」
仕事に関係するリスクに備えたい場合は、個人賠償責任保険ではなく、職業賠償責任保険(プロフェッショナルインデムニティ)や、使用者賠償責任保険などの特定業務用の保険が必要です。
例としては、
- 弁護士や税理士など士業のミスを補償する「専門職賠償責任保険」
- 医師が医療行為で損害を与えた場合の「医師賠償責任保険」
- 運送業などで荷物を破損させたときの「貨物賠償責任保険」
などがあります。
例外的に補償されるケースはあるのか?
一部の個人事業主や副業として業務を行う個人が、個人賠償責任保険でカバーできると勘違いしてしまうことがあります。しかし、保険会社ごとに異なる約款があり、副業などのグレーゾーンについては明確な線引きが重要です。
もし「自分の活動が私生活か業務か曖昧」だと感じる場合は、必ず保険会社に問い合わせましょう。
まとめ:仕事上のミスには専用の保険を検討しよう
個人賠償責任保険はあくまで日常生活における損害賠償に備える保険であり、仕事中のミスによる賠償には対応していません。業務中のトラブルに備えるなら、職業や業種に合った専門の賠償責任保険への加入が必要です。
万が一のトラブルに備え、保険の目的と補償範囲を理解したうえで、自分に合った補償を選びましょう。
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