FP3級の学習を進めるなかで、よく混乱するポイントのひとつが「基礎控除」と「給与所得控除」です。特に、税制改正の影響や古いテキストとの違いに戸惑う方は少なくありません。この記事では、2025年現在における正しい金額と違いをわかりやすく解説します。
基礎控除は一律48万円。ただし注意点あり
2020年の税制改正により、基礎控除は原則一律48万円となっています。ただし、所得が高くなると控除額が段階的に減る「逓減制」があります。具体的には、合計所得金額が2,400万円を超えると控除額が減少し、2,500万円超でゼロになります。
「95万円」という数字は、実は「給与所得控除55万円 + 基礎控除48万円 = 103万円」から税金がかからないライン(いわゆる103万円の壁)を示すものとして使われることがあり、それが混同の原因です。
給与所得控除は最低55万円に固定。65万円は過去の話
以前は給与所得控除の最低額が65万円だった時期もありましたが、2020年の改正で現在は一律55万円に変更されています。つまり、給与収入が162.5万円以下の人は控除額が55万円、それを超えると段階的に増加します。
この変更は基礎控除の引き上げと同時に行われ、全体として税負担のバランスが取れるように設計されています。
よくある混乱の例と整理のしかた
FPの勉強中に混乱しがちなポイントを整理してみましょう。
- 基礎控除は所得税の控除:一律48万円
- 給与所得控除は給与収入から差し引く:最低55万円
- 65万円という数字は旧制度の最低控除額
- 「95万円」は基礎控除+給与所得控除の合算イメージで使われることがある
これらを混同すると、控除額の判断や課税対象所得の計算でミスが生じます。
2020年以降の税制改正の背景
この改正は、高所得者の控除額を縮小し、低中所得者への負担軽減を図るために導入されたものです。年収が高いほど給与所得控除が増えていた従来の仕組みを見直し、最低額を55万円に固定したことで、税制の公平性を高めています。
また、同時に基礎控除を38万円から48万円に引き上げたため、年収850万円未満の人にとっては実質的に税負担が軽減される形となっています。
実生活への影響と知識の活かし方
この知識はFP試験だけでなく、家族の扶養控除や年末調整、確定申告でも重要です。例えば「103万円の壁」や「年収130万円未満で扶養内」なども、これらの控除額が関係しています。
古い動画や教材を見ていると、改正前の情報が出てくることがあるため、国税庁の最新情報を併せて確認する習慣を持つと、理解がより深まります。
まとめ:基礎控除は48万円、給与所得控除は55万円が基本
FP3級で問われる「所得控除」は、制度改正によって数字が変わることがあるため、最新情報に基づいた正確な知識を持つことが重要です。
現在の制度では、基礎控除は一律48万円、給与所得控除は最低55万円となっています。「95万円」や「65万円」といった過去の情報は参考程度にし、試験対策には現行の数字を正確に押さえておきましょう。
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