事業廃止と確定保険料申告書の提出期限|「50日以内」の起算日はどこから?正しい解釈を解説

社会保険

事業を廃止した際には、労働保険に関するさまざまな手続きが発生します。その中でもよくある疑問が、「確定保険料申告書の提出期限はいつから起算するのか?」という点です。特に、事業廃止日が6月30日だった場合、起算日はいつで、申告書の提出期限は8月19日なのか20日なのか。この記事ではその起算日の考え方と実務での扱いについて解説します。

確定保険料申告書の提出期限とは

労働保険(労災保険・雇用保険)の年度更新または事業廃止時には、「確定保険料申告書」を管轄の労働基準監督署等に提出する必要があります。事業廃止時においては、原則として保険関係が消滅した日から起算して50日以内と定められています(労働保険徴収法施行規則第15条)。

ここでの「保険関係消滅日」とは、テキストにもあるとおり「事業が廃止された日の翌日」です。したがって、事業廃止日が6月30日であれば、保険関係の消滅日は7月1日となります。

提出期限の起算方法:「翌日」から数えて50日目はいつ?

実際の期限を求めるには、7月1日から50日目を数える必要があります。日数をカウントしてみると以下の通りです。

  • 7月:31日あるため、7月1日〜7月31日で31日経過
  • 8月:8月1日〜8月19日で19日経過

合計ちょうど50日目が「8月19日」となります。したがって、8月19日が提出期限であり、「8月20日」になると期限を過ぎてしまうことになります。

なぜ「8月20日」と誤認されやすいのか?

多くの人が日数を数える際、「当日を1日目」としてしまいがちですが、法令における日数計算は、起算日を含めず翌日から数えるのが原則です(民法第140条)。

そのため、「6月30日に事業廃止した」場合、7月1日が保険関係消滅日となり、この日から1日目と数えて50日目が8月19日。もし6月30日を1日目とカウントしてしまうと、誤って8月20日と認識してしまうのです。

実務上の注意点:期日を過ぎた場合の影響

提出期限を過ぎてしまった場合、行政指導や是正勧告、最悪の場合は追徴金・延滞金の対象になることもあります。特に確定保険料の納付が遅れた場合は、年率14.6%の延滞金が課される可能性があるため、厳重な注意が必要です。

また、労災保険の適用が終了したことが適切に処理されないと、事務手続き上も不利益が生じる可能性があります。

提出日を管理するコツとおすすめの対策

事業廃止後の労働保険手続きを円滑に進めるには、次のポイントを意識すると安心です。

  • 廃止日が決まったらすぐにスケジューリング:保険消滅日=翌日を起算と認識しておく
  • 申告書の下書きは早めに用意:書類の不備による差戻しを防ぐ
  • 提出方法は電子申請または持参が確実:郵送なら到着日が期日内である必要あり

また、e-Govなどの電子申請なら提出日時が記録されるため、ギリギリの対応でも安心です。

まとめ:50日の数え方がポイント、8月19日が期限

確定保険料申告書の提出期限は「保険関係消滅日の翌日から起算して50日以内」とされており、6月30日に事業を廃止した場合、期限は8月19日となります。日数計算のルールを正しく理解することで、不要な延滞やペナルティを防ぐことができます。

「当日起算ではない」点が誤認されやすいポイントなので、事業主や社労士試験の受験者は特に注意しておきましょう。

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