月給7万円・週30時間勤務でも厚生年金に加入できる?最低賃金と社会保険の関係を徹底解説

社会保険

個人事業主であっても従業員を雇用し、雇用保険適用事業所となると、社会保険の適用について考慮すべき場面が増えます。特に「月給が低くても厚生年金に加入できるのか?」「最低賃金との関係は?」といった疑問は多くの事業主や労働者にとって悩ましい問題です。この記事では、厚生年金の加入要件や最低賃金との関係について、わかりやすく解説します。

厚生年金の加入要件とは

厚生年金に加入するには、原則として「正社員」または「所定労働時間および所定労働日数が正社員の4分の3以上である」ことが必要です。ただし、2022年10月以降は、従業員数が101人以上(2024年10月以降は51人以上)の事業所では「週20時間以上」「月額賃金8.8万円以上」「2ヶ月以上の雇用見込み」「学生でない」などの条件を満たせば、短時間労働者でも加入が義務付けられています。

そのため、「月給7万円」の場合、8.8万円未満であり、上記の新基準を満たさないため、通常は厚生年金の適用除外とされます。

最低賃金と労働時間の関係

たとえば最低時給が1,000円の場合、週30時間働けば月間約120時間(30時間×4週)となり、月給としては最低12万円が必要です。にもかかわらず月給が7万円である場合、これは労働基準法に違反している可能性が高いと見なされます。

このように最低賃金を下回る契約は原則として無効となり、使用者は未払賃金の支払いを命じられる可能性があります。厚生年金以前に、労働条件そのものが法的に適正であるかを見直す必要があります。

年金機構に否認される可能性とは

年金事務所(日本年金機構)は、提出された資格取得届などの内容に不審点があった場合、勤務実態や賃金台帳を確認して事実確認を行います。例えば「週30時間勤務なのに月給7万円」と記載された場合、最低賃金法違反の疑いがあるとして、加入要件を満たしていても“形式的に不備あり”として否認されることもあります。

つまり、「加入可能かどうか」だけでなく「提出内容が法令に合致しているか」も重要視されるのです。

どうすれば適正な社会保険加入ができるのか

まずは実態に即した労働条件を見直し、最低賃金を下回らない賃金設計を行うことが前提です。その上で、労働時間や雇用期間の見込みなどを踏まえ、厚生年金加入の要件を満たすかをチェックしましょう。

不明点がある場合は、地域の年金事務所に相談すれば、無料で丁寧に対応してくれます。また、社会保険労務士に相談すれば、より実務的なアドバイスが得られるでしょう。

実際のケーススタディ

たとえば、東京都で最低時給1,113円の地域において、週30時間働くと月間約13.4万円の賃金が必要になります。このような条件であれば厚生年金加入の「月額8.8万円以上」要件をクリアし、短時間労働者でも加入対象になります。

一方で、労働実態が30時間未満で月給が7万円という形であれば、加入対象外となるだけでなく、労働条件そのものの見直しが求められます。

まとめ:厚生年金加入には最低賃金と実態が鍵

月給7万円でも厚生年金に加入できる可能性はゼロではありませんが、労働時間と最低賃金の整合性が重要です。週30時間勤務で月給7万円は、最低賃金を下回るため、年金機構から否認される可能性が高いと言えるでしょう。

労働契約の適正化とともに、制度の正しい理解と専門家への相談が、スムーズな社会保険手続きの第一歩となります。

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