傷病手当金と有給休暇の併用はできる?退職前の正しい活用方法と注意点

社会保険

体調不良で傷病手当金を受給中の方にとって、有給休暇の使い方はとても悩ましい問題です。特に退職が控えている場合、「いつ」「どう使うか」で損得が大きく変わります。この記事では、傷病手当金と有給休暇を適切に組み合わせるためのルールや注意点をわかりやすく解説します。

傷病手当金と有給休暇の基本的な違い

傷病手当金は、健康保険から支給される所得補償制度です。病気やケガで働けない間に、会社から給与が出ない日数分を補填する制度であり、原則として出勤扱いの日には受給できません

一方で、有給休暇は労働基準法により付与される「賃金付きの休暇」です。有給休暇を使っている間は会社から給与が支払われるため、その期間は傷病手当金の対象外となります。

退職前の有給消化と傷病手当金の関係

退職が決まっている場合でも、有給休暇は労働者の権利として消化可能です。ただし、有給休暇と傷病手当金は同時に受け取れません。つまり、有給を使うとその期間は「出勤」扱いになるため、傷病手当金の支給対象から外れてしまいます。

よって、たとえば7月1日〜27日を傷病手当金の対象とし、7月28日〜31日を有給休暇として使うことは問題ありません。むしろ、残った有給を有効に使う適切な方法といえるでしょう。

失効前に有給を使うのがベスト

有給休暇は退職と同時に消滅します。したがって、退職日までに使い切るのが最善です。今回のケースで言えば、7月末の数日間を有給に充てることで、傷病手当金も最大限に受け取りながら、有給も無駄なく活用することが可能です。

実際にこのようなケースは珍しくなく、多くの労務担当者も同様の対応を推奨しています。

通院中でも有給は取得できる

「通院している=出勤できない=有給が使えない」と思われがちですが、実際には通院中でも有給休暇の取得は可能です。会社に「体調はまだ回復していないが、療養の一環として有給を取得したい」と伝えるだけで問題ありません。

ただし会社によっては事前申請が必要だったり、退職日が確定していないと手続きが進まないケースもあるため、事前に労務担当へ確認するのが安心です。

注意点:傷病手当金と有給の“日付の重複”

傷病手当金の支給申請日と有給休暇の日付が重複してはいけません。申請書には出勤・休業状況の詳細を記載する必要があり、矛盾した記載があると支給が遅れたり、却下される可能性もあります。

たとえば「7月27日までを傷病手当金として申請した場合、7月28日から有給開始」というように、明確に分けることが重要です。

まとめ

退職前に傷病手当金を受給しつつ、有給休暇を上手に使うことは十分に可能です。今回のように「7月1日〜27日まで傷病手当金、28日〜31日は有給」という組み合わせはルール上も問題なく、むしろ最適な使い方といえるでしょう。

ただし、日付の重複がないように注意しながら、会社の労務担当にも事前に確認を取り、トラブルを防ぐことが大切です。

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