特別支給の老齢厚生年金と配偶者扶養の関係|年金受給者の妻が扶養に入れる条件とは?

社会保険

年金受給が始まった世帯で、配偶者が扶養に入れるかどうかは、老後の生活設計において重要なポイントです。特に「特別支給の老齢厚生年金」を受給している場合、その扶養の可否について誤解されがちです。この記事では、実際の制度の仕組みをもとに、配偶者扶養に関するルールや注意点をわかりやすく解説します。

「特別支給の老齢厚生年金」とは?

この年金は、1961年4月1日以前に生まれた男性などが60歳以降に受け取れるもので、65歳までのつなぎ的な役割を持つ制度です。厚生年金に長く加入していた人が対象となり、65歳未満でも年金を受給できる特徴があります。

この支給を受けていても、まだ「公的年金等控除の対象者」として扱われるため、社会保険の「扶養の判定」とは切り離して考える必要があります。

健康保険における「扶養」の考え方

会社員や公務員などの健康保険制度では、被扶養者の条件として「収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)」が目安となります。

また、収入の半分以上を被保険者に依存していることも必要です。よって、55歳の配偶者が103万円以下の収入で、世帯主(ご主人)が年金以外の就労収入または社会保険に加入しているならば、扶養に入れる可能性があります。

ご主人が社会保険に加入しているかが重要

ご主人が企業に勤めていて社会保険(健康保険+厚生年金)に加入している場合、扶養申請を行うことで、配偶者を健康保険の被扶養者にすることができます。

一方で、ご主人が完全に退職し、年金のみで国民健康保険に切り替えた場合、扶養という概念がなくなり、配偶者は自分で国民健康保険に加入する必要があります。

扶養に入れる条件を満たすための確認ポイント

  • ご主人が勤務先の健康保険に加入しているか
  • 配偶者の年収が130万円(60歳未満)未満か
  • ご主人の収入に依存して生活しているか

これらの条件を満たす場合は、通常通り扶養申請が可能です。「年金受給中だから扶養に入れない」と誤解されるケースも多いですが、年金の種類と保険の仕組みを区別して判断することが大切です。

実例:年金受給中の夫の扶養に妻が入ったケース

東京都在住のAさん(64歳男性)は、特別支給の老齢厚生年金を受給しながら企業に再雇用として勤務。妻(55歳)はパート収入が年収100万円以下であったため、Aさんの会社の健康保険組合に被扶養者として申請し、認定されました。

このように、年金受給が始まっていても、勤務を継続しており社会保険加入中であれば、扶養に入ることは十分可能です。

まとめ:扶養に入れるかは保険の種類で決まる

特別支給の老齢厚生年金を受給しているからといって、配偶者が扶養に入れないとは限りません。扶養の可否は、「被保険者が社会保険に加入しているかどうか」「扶養される側の収入水準」によって判断されます。

不明点があれば、ご主人の勤務先の健康保険組合や人事部に確認し、適切な手続きを取ることが大切です。安心して扶養申請を進められるよう、制度のポイントを押さえておきましょう。

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