会社から従業員へ中古車を譲渡・売却する場面は珍しくありません。しかし、税務処理や支払い方法には注意すべきポイントがあります。特に「分割払いで購入したい」と考えたときには、ローン契約の有無や、会社側との契約内容を明確にしておく必要があります。
会社から車を購入する際の基本的な流れ
まず、会社が社員に車を売却するには、適正価格での取引が前提となります。税理士が「利益を出すように」と指示するのは、適正価格以下での売却が給与扱い(=課税対象)になってしまう可能性があるためです。
たとえば、車の市場価格が80万円と査定された場合、40万円で売ると差額40万円が給与扱いとなり、会社も従業員も税務リスクを負うことになります。
分割払いにする場合の選択肢
従業員が80万円を一括で支払えない場合、次のような選択肢があります。
- 金融機関などから自分でローンを組む(通常の自動車ローン)
- 会社と個別に分割払い契約を交わす(社内ローンに近い)
どちらも可能ですが、会社との直接分割契約をする場合には書面による契約を残すことが重要です。毎月いくら支払うのか、総額はいくらか、利息はあるか、滞納時の対応などを明記しましょう。
ローンを通さずに会社と分割払い契約できる?
会社が了承すれば、ローンを通さなくても分割払いは可能です。
ただし、下記の点には注意してください。
- 車検証の名義は誰になるのか
- 完済までは所有権留保にするかどうか
- 事故・故障時の責任分担
また、税務的にも「社内貸付」として扱われる場合があり、金利ゼロで貸した場合は会社に課税リスクが発生するケースもあります。
実例:社内分割で購入した場合の契約内容例
ある企業では従業員に対し次のような条件で車を売却しました。
- 総額80万円の中古車を、月額2万円×40回で返済
- 契約書に返済スケジュールと口座引き落としの同意を明記
- 車の名義は完済後に従業員へ移転
- 所有権は会社に留保
このような形式であれば、ローン会社を通さずとも分割払いが現実的に可能です。
税務と名義変更に関する注意点
名義変更や自動車取得税などの諸費用も含めて、誰が支払うかを明確にすることが大切です。また、従業員への売却が「相場より明らかに安い」と見なされた場合は、給与課税リスクがあるため、税理士の助言に従いましょう。
まとめ:柔軟な分割払いは可能だが契約と税務対応が必須
会社からの車購入において、分割払いはローンを通さずとも可能ですが、契約内容と税務処理をしっかり行うことが前提です。
購入希望者としては、支払い方法、名義変更、所有権の扱い、万が一のトラブル時の対応についてしっかり話し合い、書面で取り決めておくことをおすすめします。
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