給与ゼロの正社員でも年末調整や社会保険は必要?働いていない場合の手続きと注意点

社会保険

親の会社などで形式上「正社員」となっていても、実際には働いておらず給与も発生していないというケースは意外と少なくありません。こうした場合でも、税務や社会保険における扱いはきちんと理解しておく必要があります。この記事では、所得がない状態での年末調整や社会保険加入の可否について、具体的に解説します。

年末調整は「給与支払いがある場合」のみ必要

年末調整とは、会社が従業員に支払った給与にかかる所得税を年末に精算する手続きです。そのため、給与の支払いが一切ない場合、年末調整の対象にはなりません。

具体的には、「給与所得の源泉徴収票」が発行されないため、本人が確定申告を行う義務も原則ありません。たとえば、1年間まったく給与を受け取っていない正社員であれば、年末調整も確定申告も不要ということになります。

社会保険の加入条件:報酬月額が基準

社会保険(健康保険・厚生年金)への加入は、勤務形態だけでなく、報酬(月額賃金)が大きな要件です。現在の基準では、原則として月額88,000円以上の給与が支払われていることが必要とされています。

よって、給与がゼロであれば、実態として加入条件を満たしておらず、会社側が社会保険に加入させている場合には不適切な運用と言える可能性があります。最悪の場合、過去の未納保険料の追徴などが発生するリスクもあります。

「籍だけある正社員」は実務上の注意が必要

形式的に「正社員」として籍があるだけの状態は、法律的にもグレーゾーンとなり得ます。特に保険料の扱いや労務管理の面で問題が起きやすくなります。

例えば、実際には働いていないのに社会保険料だけ引かれている場合、それは「名義貸し」に近い状態となり、本人にも不利益を被る可能性があります。事前に雇用契約や勤務実態について、会社側と認識を擦り合わせることが重要です。

実例:家族経営の会社での「非労働正社員」

家族経営の会社で「息子を正社員として在籍させているが、給与はゼロで実際に働いていない」というケースがあります。このような場合、実態として労働の対価が発生していなければ、社会保険料も発生せず、年末調整も行わないのが原則です。

しかしながら、会社がその状態でも社会保険に加入させていた場合には、後日トラブルになる可能性があるため、社会保険事務所や税理士に相談しておくと安心です。

扶養関係との兼ね合いにも注意

給与がゼロであれば、親の扶養に入れる可能性があります。ただし、健康保険と所得税の扶養条件は異なるため、扶養に入れるかどうかは別途確認が必要です。たとえば、健康保険では収入が130万円未満である必要があります。

正社員の籍があるからといって自動的に扶養に入れない、というわけではないので、保険証の発行状況などを確認しておくと良いでしょう。

まとめ:働いていなければ「給与なし=手続きなし」が基本

正社員として籍があっても、給与が支払われていなければ原則として年末調整や社会保険の加入義務はありません。ただし、会社側の運用次第では不適切な処理がなされている可能性もあるため、実態に即した雇用契約の見直しや、税理士・社労士への相談が推奨されます。形式だけの在籍がトラブルの火種とならないよう、きちんと対応を検討しましょう。

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