老後の生活設計において「自分はいくら年金がもらえるのか？」という疑問は非常に重要です。特に収入が安定していた会社員の方は、老齢基礎年金に加え、厚生年金の支給額にも大きく影響します。今回は、20代から60代まで年収が段階的に上がっていった会社員をモデルに、65歳から受け取れる年金額の目安をシミュレーションしてみましょう。
年金の基本構造：老齢基礎年金と厚生年金
年金制度は2階建て構造となっており、誰でも受け取れるのが老齢基礎年金（国民年金部分）、会社員などが加わる厚生年金が2階部分として加算されます。老齢基礎年金は40年間保険料を納付していれば満額で約80万円程度（令和6年度：約80万2900円）受け取れます。
これに加え、現役時代の収入に比例して決まるのが厚生年金です。厚生年金は毎年の報酬に応じた「平均標準報酬月額」と「加入月数」によって計算されます。
モデルケース：収入推移から見る標準報酬月額
以下のような収入推移をもとに、平均的な標準報酬月額を推定します。
- 20代：250万～350万（平均300万）
- 30代：350万～450万（平均400万）
- 40代：450万～550万（平均500万）
- 50代：550万～600万（平均575万）
- 60～64歳：300万
単純平均で試算すると、平均年収は約415万円。これを標準報酬月額換算するとおよそ34万円前後になります。
仮に厚生年金加入期間が40年間（480か月）あるとすると、以下の式が使えます。
- 厚生年金＝平均標準報酬月額×5.481/1000×加入月数
→34万円 × 5.481 ÷ 1000 × 480 ≒ 約89万円（年額）
老齢基礎年金と合算した年金額の目安
老齢基礎年金（約80万円）＋厚生年金（約89万円）＝年間169万円、月額約14万円程度が想定されます。
ただし、標準報酬の計算や保険料納付月数などの正確なデータがわからないと概算の域を出ません。また、60代前半で年収が下がっている点も反映されているため、実際の年金額も多少前後します。
年金見込額を正確に知る方法
より正確な金額を知りたい方には、ねんきんネットの利用がおすすめです。ログインすれば、最新の加入記録に基づいて将来の年金見込額が自動計算されます。
また、毎年送られてくる「ねんきん定期便」でも、現時点での加入実績に基づいた見込額が記載されています。64歳であれば、65歳からの年金額が具体的に記載されているはずです。
老後の資金計画に役立つ考え方
月額14万円程度では、単身世帯では最低限の生活は可能でも、余裕ある暮らしや医療・介護費用までカバーするには不安も残ります。退職金や企業年金、個人年金、貯蓄などを含めて総合的な資金計画が必要です。
また、配偶者との世帯年金を合算したうえで生活費を見積もるのも一つの方法です。医療費や住宅費を抑える工夫も老後の安心につながります。
まとめ
今回のようなケースでは、65歳からの老齢基礎年金＋厚生年金の合計はおおむね月額14万円前後が目安といえます。実際の金額を把握するにはねんきんネットでの確認が最適です。老後のライフプランを立てる上で、公的年金がどの程度家計を支えてくれるのかを知ることはとても大切です。
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