高齢になってからの保険加入は複雑で、特に年金受給と扶養条件の兼ね合いが課題になることがあります。今回は、子どもの健康保険(協会けんぽ)に60代の両親が扶養として加入しているケースを元に、年金受給後の対応について詳しく解説します。
協会けんぽの扶養条件とは?
協会けんぽの被扶養者になるためには、主に以下の条件があります。
- 年間収入が130万円未満(60歳以上や障害者は180万円未満)
- 被保険者に生計を維持されていること(同居や仕送りの実態が必要)
この「180万円未満」という基準は、年金を受給している高齢者に適用される特例です。つまり、60歳以上で180万円未満の年金収入であれば扶養に入ることが可能です。
夫が180万円を超えた場合の対応
夫の年金受給額が200万円の場合、180万円の基準を超えているため、被扶養者としての資格は失われます。この場合は、協会けんぽから外れて、国民健康保険への加入が必要になります。
市区町村の窓口で国民健康保険への加入手続きを行い、保険料は年金収入等を基に算出されます。自治体によっては軽減措置もあるため、詳細の確認をおすすめします。
妻が扶養のままでいられる条件
一方で、妻の年金収入が80万円であれば、180万円未満の条件を満たしています。また、生計を子どもに依存している状況であれば、被扶養者としての資格を継続できます。
ただし、実際に仕送りなどの証明を求められる場合があります。書類として、仕送りの振込履歴や生活費の支援状況などを提出することになるため、日頃から記録を残しておくと安心です。
実例:60代夫婦と子ども世帯の保険対応
実際に、60代の夫婦が30代の子どもの扶養に入り、後に年金受給が始まったケースでは、夫は国民健康保険へ切り替え、妻のみ協会けんぽの扶養として継続することができました。
扶養から外れる際、保険証の返却や新たな保険証の発行手続きが必要です。切り替えのタイミングで空白期間ができないよう、事前の準備が重要です。
扶養の見直しはいつ必要?
以下のタイミングで扶養条件の見直しをおすすめします。
- 年金受給が始まったとき
- 収入が増加したとき
- 同居状況や生計維持の状況が変わったとき
条件が変わったにもかかわらず扶養に入ったままだと、後に遡って保険料を請求される可能性があります。制度に合った対応を心がけましょう。
まとめ:夫婦で条件が異なることに注意を
年金受給により扶養条件を満たさなくなる場合、夫婦それぞれが異なる健康保険制度に加入することもあります。協会けんぽの扶養条件は「年齢」と「収入」で異なるラインが設定されているため、個別に判断する必要があります。
必要に応じて、会社の総務部や健康保険組合、市区町村の窓口に相談し、正確な情報に基づいた手続きを行うことが大切です。
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