大学生活の中でアルバイト収入を増やしたいと考える人は多いですが、親の扶養に入っている場合、収入が一定額を超えると扶養から外れるリスクが生じます。特に「130万円の壁」「月10万8千円以内」という言葉を聞くと混乱する方も少なくありません。この記事では、大学生が扶養内で働きたい場合に押さえるべき制度や計算方法、実際の働き方の工夫を詳しく解説します。
扶養の仕組みを整理しよう:健康保険と税制の2種類
「扶養」と一口に言っても、実は「健康保険の扶養」と「所得税の扶養」の2種類があります。健康保険上の扶養は、社会保険(勤務先の保険)に加入している親の扶養に入ることを意味し、所得税上の扶養は、親の所得税や住民税の控除に関係します。
今回のように「親の会社から扶養の範囲について言われた」というケースは、主に健康保険上の扶養が問題になります。
健康保険の扶養ライン:年収130万円未満が基準
社会保険の扶養から外れるかどうかは、年収130万円が一つの目安となります。ただしこれは「年間収入見込み」で判断されるため、単月の収入が高すぎると、「継続的に130万円を超える」と見なされて外される可能性があります。
特に注意すべきは、「どの月から起算しても12ヶ月間で130万円未満であること」というルールです。これは年の途中から働き始めた場合でも、12ヶ月間の見込み収入で判断するという厳密な運用がされる会社があるという意味です。
月10万8千円の制限はどこから来る?
月10万8千円という数字は、130万円を12ヶ月で割った際のおおよその上限額です(130万円 ÷ 12ヶ月 = 約10万8333円)。親の会社がこのように月単位で監視している場合は、月の収入をこのラインに収める必要があります。
例えば、8月からフルタイムで月12万円稼ぐと、その月から12ヶ月間で144万円と見なされ、扶養から外れる判断がされる可能性があります。
例外的に扶養が維持される場合もある
例えば、大学を休学している間だけ一時的に働く予定で、復学後は働けなくなる場合などは「一時的な収入増」として柔軟に判断してくれる保険組合もあります。このようなケースでは、勤務証明書や復学予定日の説明書類を添えて、事情を説明すると対応してくれることも。
ただしこれはあくまで「組合の判断による」ものであり、すべての会社が柔軟な対応をしてくれるとは限りません。早めに親の会社の人事部などに相談することが大切です。
扶養から外れた場合の影響と対処法
扶養から外れると、健康保険料の自己負担が発生します。国民健康保険に加入することになるケースが多く、地域によっては月1万円以上になることも。加えて、年金の「学生納付特例制度」なども別途手続きが必要です。
どうしても収入を増やしたい場合は、計画的に扶養を外れる判断をして、事前に保険・年金などのコストを計算しておくことが重要です。
まとめ:大学生が扶養内で働くには、月収だけでなく年間見込みにも注意
大学生が扶養内で働く際は、「130万円未満の年間収入」と「月収10万8千円」という2つの視点を両立して考える必要があります。特に月ごとの収入が高くなると、たとえ年収が130万円に達していなくても、将来の見込みで扶養から外れる可能性も。
まずは親の勤務先の規定や保険組合の方針を確認し、不安な場合は人事部門に相談するのが最も確実な方法です。復学後の働き方も視野に入れながら、自分にとって最適な働き方を考えていきましょう。
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