パート勤務で扶養内に収める働き方は、家計のサポートや税・社会保険の面で多くのメリットがあります。一方で「将来、年金が少なくて生活できるのか」といった不安を抱える方も少なくありません。特に精神的な事情を抱えている方にとって、長期的な働き方や備えの選択はとても重要なテーマです。本記事では、扶養内で働く場合の年金の仕組みや将来設計についてわかりやすく解説します。
扶養内パートで受け取れる年金の仕組み
扶養内で働くと、第3号被保険者として国民年金(基礎年金)に加入する形になります。厚生年金は適用されません。現在の基礎年金の満額は月額約66,000円(2024年度時点)で、これは老後の最低限の収入とされています。
たとえば20歳から60歳まできっちり40年間保険料を納めた場合でこの金額です。途中で納付していない期間があると、これより少なくなります。
基礎年金だけでは老後の生活は厳しい?
厚生労働省のモデルケースでは、老後の生活に必要な最低支出は単身世帯で月13~15万円程度とされています。基礎年金だけでは不足する可能性が高く、貯蓄や他の収入源が必要です。
例:月66,000円の年金に対して、月額生活費が13万円の場合、月6~7万円の赤字が発生し、これを補うには20年で約1,500万円の貯金が必要になります。
貯金と併用すれば安心できる?
貯金があれば、基礎年金のみでも老後を支えることは可能です。若いうちから積み立てることで将来的な安心感を得られます。つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などの制度を活用することも選択肢です。
ただし、精神的な不調がある方は、無理に投資商品に手を出すよりも、まずは預金による堅実な資産形成を意識する方がリスクが少なく安心です。
厚生年金に加入するという選択肢
扶養を外れて厚生年金に加入すると、将来受け取れる年金額は大きく増加します。具体的には、基礎年金に加えて「報酬比例部分」の上乗せがあり、長く加入すればするほど有利です。
たとえば時給1,100円で週30時間働き、年収130万円を超えて厚生年金に加入した場合、老後の年金額は月額7~8万円台になる可能性があります。少しずつでも加入年数を重ねておくと後々の差が大きくなります。
精神的な負担とのバランスを考えた働き方
精神病を抱えて通院中の場合、無理して厚生年金の条件を満たす労働をするより、現在の自分の体調に合わせて働くことが大前提です。生活のバランスを崩してしまっては本末転倒です。
扶養内でも少額から貯金を始め、体調が落ち着いて余裕ができた時点で厚生年金付きの勤務に切り替える、といった段階的なキャリア設計も現実的な選択肢です。
まとめ:自分に合った「今できる対策」を積み重ねて
基礎年金だけでは老後が不安、というのは正しい感覚です。しかし、扶養内で働くことには安心感や継続しやすさという大きな利点もあります。大切なのは、自分の健康状態や生活スタイルに合った働き方を選びながら、できる範囲で将来の備えを進めることです。
貯金や資産形成を意識しながら、必要に応じて厚生年金付きの働き方を検討するという段階的な対応が、心にも家計にもやさしい方法といえるでしょう。
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