仕事中のケガで休業せざるを得なかったにもかかわらず、会社が労災申請をしてくれなかった──このようなケースは意外と多く見受けられます。本記事では、労災扱いにされなかったときに労働者側がとれる対処法や、傷病手当金との違いについて詳しく解説します。
労災保険とは?仕事中のケガは原則カバーされる
労災保険(労働者災害補償保険)は、労働者が業務中または通勤中に負傷・疾病・死亡した場合に給付される制度です。原則として、雇用形態(正社員・パート・アルバイト)を問わず適用されます。
つまり、仕事中に肋骨を折ったという明確な状況であれば、労災の対象となる可能性は非常に高いです。
会社が労災申請を拒否した場合の対応策
労災の申請は原則として事業主(会社)を通じて行いますが、会社が協力しない場合でも、労働者本人が直接申請することが可能です。
手続きの流れ。
- 労働基準監督署へ連絡・相談
- 「療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)」を提出
- 医師の診断書や事故状況の説明資料を添付
労基署が調査し、労災認定されれば会社の同意がなくても給付は受けられます。
労災が出ない場合、傷病手当金は使える?
傷病手当金は、業務外のケガや病気による休業に対して健康保険から支給される制度で、仕事中のケガには適用されません。このため、仕事中の骨折であれば傷病手当金は基本的に対象外です。
ただし、労災が認定されない、もしくは労災と認められにくいケース(証明困難など)では、健康保険の一時的救済として傷病手当が使われる場合もありますが、これは例外です。詳細は健保組合や協会けんぽへの相談が必要です。
実例:労災を拒否されたが自分で申請して給付されたケース
40代男性Dさんは、倉庫作業中に荷物を胸にぶつけ肋骨を骨折。会社は「私用中の事故」として労災申請に協力しなかったが、労基署に診断書と経緯を提出し、自己申請で労災認定された。
結果として、1ヶ月分の休業補償(休業4日目から賃金の80%相当)が支給され、通院費も全額カバーされた。
会社に労災を申請してもらえない場合の注意点
- 感情的にならず、労基署に冷静に相談する
- 診断書、事故の証拠、同僚の証言などを用意しておく
- 休業が長期になる場合は早めに申請を進める
労基署は中立機関なので、会社に遠慮せず相談して大丈夫です。
まとめ
仕事中のケガで会社が労災を申請してくれなかった場合でも、労働者本人が労働基準監督署に直接申請できます。1ヶ月の無収入状態を放置せず、診断書などの証拠を揃えて、正当な補償を受けましょう。
「労災が出なかった=仕方ない」ではなく、行動すれば解決できるケースは少なくありません。早めの対応が大切です。
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