高齢になると医療費や介護費の負担が大きくなりがちですが、日本には一定額を超えた医療費・介護費の自己負担分を軽減する制度があります。それが「高額介護合算療養費制度」です。特に70歳以上になると、年間自己負担の上限が引き下げられ、より大きな支援が受けられるようになります。本記事では制度の仕組みや申請方法、複数の保険者をまたいだ場合の注意点についてわかりやすく解説します。
高額介護合算療養費制度とは?
高額介護合算療養費とは、同じ世帯内で支払った1年間(毎年8月〜翌年7月)の医療費と介護保険の自己負担額を合算し、上限額を超えた場合に払い戻しが受けられる制度です。対象者の年齢や所得により上限額が異なります。
70歳以上の方の場合、年間の合算上限額は原則14万4千円(低所得者区分)~67万円(高所得者)となり、負担軽減が大きくなります。
70歳の誕生日が支給対象にどう関係するか
高額介護合算療養費は「制度年度(8月〜翌年7月)」に基づいて判定されます。つまり、7月に70歳になる場合、その年の8月からの制度年度で“70歳以上の上限”が適用されます。
そのため、70歳の誕生日前の医療費には通常の65〜69歳の上限が適用される点に注意しましょう。
協会けんぽと国保の保険者をまたぐときの申請方法
重要なポイントは「合算期間内に複数の保険者に加入していた場合、保険者ごとに申請が必要」ということです。
たとえば、2025年3月まで協会けんぽ、4月から国民健康保険に加入していた場合、翌年度に両方の保険者に合算療養費の申請が必要です。合算処理は国保側でまとめて行われますが、協会けんぽから証明書を取得し、それを国保に提出する必要があります。
申請時の手続きと必要書類
申請先は「最終的に加入していた保険者」になります。多くの市区町村では、8月以降に自動的に案内が郵送されることがありますが、自動送付されない場合もあるため、役所の窓口で確認しましょう。
- 協会けんぽでの支払証明書(証明書交付依頼が必要)
- 本人確認書類
- 世帯全員の保険証コピー
- 医療費や介護費の支払明細(市区町村によって不要な場合もあり)
手続きは通常8月以降に行えます。自治体の案内に従って期限内に申請してください。
支給のタイミングと振込方法
申請が受理された後、審査が完了すると支給決定通知書が届き、指定口座に支給額が振り込まれます。申請から支給までは1〜3か月程度が一般的です。
支給額は自己負担額の合計が上限額を超えた分となり、例えば年間自己負担が30万円、上限額が14.4万円だった場合、約15.6万円が返還されます。
まとめ:70歳を迎えるタイミングと制度年度を意識して
高額介護合算療養費制度は、高齢者の医療・介護費負担を軽減する大変重要な制度です。複数の保険者に加入していた場合も、証明書を取り寄せることで合算申請は可能なので、70歳を迎える方は制度年度と申請先を正しく把握して、漏れなく活用しましょう。
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