退職後に国民健康保険への加入を忘れてしまった、あるいは意図的に未加入のまま数年を過ごしてしまったという人は少なくありません。では、こうした“空白期間”は将来どうなるのでしょうか?本記事では、保険料の追徴や影響についてわかりやすく解説します。
国民健康保険の加入義務と未加入期間の扱い
日本では、会社員を退職して健康保険の資格を喪失した場合、原則として14日以内に国民健康保険へ加入する義務があります。この届出を怠ると、「未加入状態」になりますが、これは法律上“保険に加入していない”という扱いではなく、“未届”として扱われるケースがほとんどです。
つまり、後から加入を申し出た場合は過去の未加入期間にさかのぼって加入させられる可能性があります。そしてその期間の保険料をまとめて請求されるケースも実際にあります。
将来的に加入したとき、過去の未加入分はどうなる?
結論から言えば、未加入期間があっても、加入申請時にさかのぼって加入を求められる可能性があります。ただし、実務上は「2年分まで」しか請求されないことがほとんどです。これは時効が関係しており、保険料の請求は2年を超えると時効になるとされています。
したがって、仮に2021年9月から未加入だったとしても、2025年7月に国保に加入する場合、2023年7月~2025年6月の2年分が請求される可能性が高いです。それ以前の分は通常、請求されません。
雇用保険や年金との関係は?
健康保険と雇用保険、厚生年金保険は制度が異なるため、未加入の事実が直ちに他の制度に波及することはありません。つまり、国民健康保険に未加入だったからといって、雇用保険に加入できないということはありません。
ただし、行政手続きや将来の医療費控除などの面で整合性が取れないケースが出る可能性もあるため、自己申告する際は慎重な確認が必要です。
保険料の納付が難しいときは減免制度を活用
国民健康保険料は前年の所得に基づいて決定されますが、所得が低かったり生活が困難な場合は保険料の減免申請を行うことが可能です。市区町村ごとに条件は異なりますが、「失業者」「低所得者」向けの減免枠が存在します。
また、遡って請求される保険料についても、分割払いなどの相談に応じてもらえることがありますので、市区町村の窓口で早めに相談してみましょう。
未加入のまま医療機関にかかるリスク
万が一、保険に未加入のまま医療機関にかかると、全額自己負担(10割)になります。仮に5万円の診療でも、健康保険適用なら1.5万円で済むところが、未加入だとそのまま5万円の支払いになります。
そのため、できるだけ早期に手続きを済ませておくことが、将来的な負担回避につながります。
まとめ|未加入期間の取り扱いと今後の対策
国民健康保険の未加入期間は、加入時にさかのぼって保険料を請求される可能性がありますが、実務的には過去2年分までにとどまるのが一般的です。将来的に加入予定があるなら、事前に市区町村の窓口で相談し、減免や分割払い制度の有無を確認しておくと安心です。
また、今後のトラブルを避けるためにも、退職後はできるだけ速やかに健康保険の切り替えを行うよう心がけましょう。
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