中高年になってからの生命保険契約は、将来の安心を得る一方で、保険料の負担や返戻金とのバランスに悩む方も少なくありません。特に55歳を過ぎてからの契約は保険料が高くなりがちで、契約内容によっては「本当に必要なのか」「このまま払い続けて得なのか」と疑問を持つ場面も出てきます。本記事では、そのような悩みに直面している方へ向けて、判断に役立つ視点を提供します。
高齢からの保険加入で見落としがちな落とし穴
55歳以降の生命保険は保険料が高く設定されており、解約返戻金が少なかったりゼロであるケースもあります。特に「支払総額>返戻金」となるプランでは、長生きしなければ損になることも。
たとえば、13638円の月額保険料を19年間(74歳まで)支払うと、約310万円を支払うことになりますが、その時点での返戻金がゼロという場合、本来の「貯蓄型」保険の意味をなしていない可能性もあります。
終身保険 vs 医療保険:本当に必要な保障を見極める
死亡保障よりも医療費や介護への備えを重視したほうがよいケースもあります。たとえば、がんや大病に備えたいなら、がん保険や先進医療特約がある医療保険の方がコスト効率が高くなります。
終身保険は残された家族のための保障ですが、独身や子どもが独立している場合は必ずしも必要ではないことも多くあります。
返戻率と払込期間を見直すことが損失を防ぐ鍵
保険契約時には、返戻率(支払額に対する返金割合)が重要です。たとえば、75歳で返戻金が281万円なら、実質的に30万円ほど損をする可能性も考えられます。
また、満期を75歳など比較的早期に設定すると、長生きした場合の保障が薄くなり、後悔する人も多いのが実情です。できる限り、長生きリスクにも対応できる商品を検討すべきです。
医療費100万円は本当に保険で備えるべきか?
日本の医療制度には高額療養費制度があり、たとえば100万円の手術費がかかっても、実際に自己負担するのは所得に応じて月額8万円前後に抑えられるケースもあります。
医療保険に入る場合は、この制度を加味したうえで「入院一時金」「先進医療特約」などの選択肢を検討するとよいでしょう。
解約か継続か、判断のポイントは?
解約を検討する際には、以下の要素を比較しましょう。
- 残りの支払年数と支払総額
- 現在の生活費と保険料のバランス
- 別の保険商品への乗り換え可能性
- 返戻金の受け取りタイミング
一度保険を見直すために、ファイナンシャルプランナー(FP)による無料相談を活用するのも有効です。
実例:55歳男性のケーススタディ
実際に55歳で終身保険に加入したAさんは、支払額より返戻金が少ないことに不安を覚え、保険を解約し、その分をつみたてNISAや医療保険に切り替えました。結果、保障と資産形成のバランスが改善されました。
このように、「保険だけ」に固執せず、資産全体で考える視点が重要です。
まとめ:保険は『安心の買い方』を選ぶ時代へ
保険契約は一度結ぶと見直しにくいものですが、年齢やライフスタイルの変化に応じて見直すことは決して悪いことではありません。特に55歳以降の保険選びは、無理のない支払いと必要保障のバランスが何よりも大切です。
もし保険に疑問や不安があるなら、一度立ち止まって見直してみる勇気も、将来の安心につながる選択肢になります。
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